個人で山を買う方法とは? 昆虫好きの息子のために山を購入! 山開拓は初めてづくし!
〈父と息子の山開拓奮闘記vol.2〉山を買ってみたけどこの後どうする? どんな生きものがいるの?
2024.09.25
具体的な手続き方法は? どんな開拓道具が必要? どんな生きものがいる?
実際に「山」を買うってどういうこと? どこで売っているの? 手続きはどうする? と、そんな数々の疑問を解決すべく、第2回の記事では具体的な手続きについてお父さんに聞いてみました。
面積は約5000平方メートル(約1500坪)で、樹種は杉と竹になります。以前は素晴らしい大企業が半世紀所有しており、その大企業の創業家がお付き合いで元々の所有者から購入したそうです。その昔、山林内には家屋が数軒あったそうで、倒壊した家の残骸や、大きな井戸みたいな馬の餌場(らしい)が今でも残っています。家屋があった場所は平地ですのでキャンプもできます。隣地には小川が流れています。
山を買ってみたけど、この後どうする?
MOVE編集部のむぅちゃん
山を買うと決めたら、そのあとはどんな手続きが必要なのですか?
お父さん
売買契約、その後に所有権移転登記が完了すれば自分の所有物になります。その後、「森林の土地の所有者届出」または「国土利用法に基づく土地売買契約の届出」が必要になるので、所有者となった日から90日以内に各市町村等へ届出をします。
その他、森林の種類(普通林、保安林)や地域、面積によっては、森林法や条例により、事前届出や許可が必要になることがありますのでご注意ください。私たちの山林は埼玉県にあり、埼玉県水源地域保全条例に該当するエリアでしたので「土地の所有権等の移転等の届出書」を事前に提出しました。
公的な手続き以外にも隣地の所有者へのご挨拶なども大事です。
特に郊外はご近所の繫がりも深いでしょうし、見知らぬ人が山に来てガチャガチャやっていたら不安になると思います。私が逆の立場なら嫌ですもん(キッパリ)。
初めて山に行ったとき、隣の山林を持つ近所のおじさんがちょうど竹林整備に来ており、会うことができました。その際に、今回購入した経緯や住まい、鋸(ノコギリ)など必要な道具類についてのアドバイスなど色々お話しさせていただきました。
おじさんは元学校の先生で子ども好きでもあったので、息子ともちゃんと目を合わせ、よくお話しをしてくださいました。
れいいちろう
「子どもは宝物だからねぇ~」と言ってくださって、本当に優しいおじさんです! 入り口にいるお婆ちゃんにもちゃんとご挨拶ができました。今ではネコ(ニャーのほうではなく一輪車)を借りるほどマブダチです!
あと山道の脇にある祠には、山に入る度に御神酒をお供えしています!
MOVE編集部のむぅちゃん
この土地はどんな使い方をしても良いのですか?
お父さん
立ち木の伐採には許可や届出が必要だったりするので事前確認が必要です(竹など伐採造林届出書が不要なケースもある)。建築物を立てる場合にも基本的に建築確認申請が必要なので、自分の所有物だからといって何をしてもいいというわけではありません。
またBBQや焚火などでの火の取り扱いにも注意が必要です。火を使う際は、山開拓やキャンプの動画、ブログなどを参考にするだけでなく、各市町村や消防署に確認するようにしましょう。
MOVE編集部のむぅちゃん
土日はほぼ山開拓をしているというお二人。山開拓にはたくさんの機材が必要ではないですか?
お父さん
山での作業も楽しみですが、ギア選びも楽しみの一つです。何を隠そうビバホームのメンバーですからね(誰でもなれる)! 軍手一つとっても種類が豊富ですし、鋸もこんなに種類があるんかい! って初めて見る光景についつい長居してしまい、奥さんため息吐息的な(笑)。
私も息子も完全にズブの素人(アウトドア派じゃない普通のオッサン、虫好きな普通の小学生)なので、手ノコからスタートです。葉加瀬太郎さんをイメージしながらバイオリンを奏でるが如く(全く違う)、ギコギコギコギコと無心で竹を切る作業に二人で没頭しつつ、それでも冷静に周りを見渡すと竹の軍勢に圧倒されてしまいます。
「こりゃ、終わらんな」という事で、早々に弱音を吐き、文明の利器の力を借りようとビバホームプロのお兄さんに竹をやっつけたい相談をすると、ド素人に慣れた様子で「はい、レシプロソーですね」と。要は電動ノコギリです。期待の新メンバー加入です! 枝打ちや細い竹を切るには便利です。もう一つ、枝打ちで便利と言えば、鉈(ナタ)。
レシプロソーと共に人生初お目見えのナタっちですが、もう、出で立ちがスプラッター映画に出てきそうな厚みのある刃で恐怖すら感じます。
お父さん
伐採系ギアは電動式だったりエンジン式だったり、便利になるほど危険度も上がります。私だけでなく愛する息子にも大怪我はさせられません(ちっさい傷や怪我はしょうがない、勲章とすら思っている不謹慎な男親)。お互いグローブとゴーグルをして、作業をするときは近くにいないなど、細心の注意を払います。
新メンバーのレシプロソーはすぐに息子へと継承されます。電動式となるとやっぱり子どもも使いたがりますし(特に男の子)、私が自分で使ってみて理解できた部分もあるので「習うより慣れよ」の精神で任せようと思いました。その裏には超大型新メンバーの加入があったことは誰にも内緒です。
れいいちろう
もしかして……山といえば憧れの、あのマシン!?
お父さん
そう、男子なら一度は憧れるチェンソー。チェンソーマンの登場です(息子は早く『チェンソーマン』の主人公・デンジになりたがっているが流石にそれはまだ早い)! レシプロソーを買った翌週に再度ビバホームプロに行き、説明を聞きながら注文している自分がいました。
マキタ、ハスクバーナ、ハイコーキ、ミルウォーキーと違いが分かりもしないブランド名で悩みながら、エンジン式のほうが馬力があると方々で言われながらも、天邪鬼の申し子である私はJackeryのポータブル電源1000Plusを購入したばかりというタイミングもあって(35%オフに釣られて買ったら翌週40%オフ、おっふ! ぐふっ...! 泣)、マキタの電動式を購入しました(レシプロソーもマキタ)。
私は面倒くさがりのド素人なので馬力よりも簡易さ、保管しやすさで選びました。屋外に保管場所があったり、敷地が広ければ、そりゃー勿論、エンジン唸らせパワーでブンブンです! (時代に反しエコ精神ではなく、そのほうが好き。お父さんたち分かってくれるでしょ!?)
MOVE編集部 むぅちゃん
ところで、生きものは何か見つかりましたか?
お父さん
昆虫採取ができる里山、雑木林の主役たちである椚(クヌギ)や小楢(コナラ)、榎(エノキ)がなくとも、山林ですから草も生えていれば土も水もあるわけで、ゆっくり見渡せば生きものはたくさんいます。
どこにでもいるハエ君を筆頭に、ウグイスやら色々な鳥(残念ながら詳しくない)、何の鳥か分からない鳥の巣、山道に落ちていた鹿の糞、それにくっついていたセンチコガネ、水辺にいたサワガニ、山道脇の草むらにいたニホントカゲ、竹林の中にたくさんいたベニカミキリ、巣作りをしようとしてるスズメバチの女王蜂(超デカい!)など、虫が苦手な人には超最悪の環境です(笑)。
れいいちろう
本命のヘビはまだ発見できず……! でも、この前初めて「山林パトロール犬」をみたよ。スタートの合図?が遠くで聞こえて、「ワンワン!」って吠えてるなーと思っていたら熊鈴の音が近づいてきて。熊鈴をリンリンと鳴らしながら、ビブスを着た茶色のワンちゃんが1匹走ってきたんだよ。
飼い主もいないのに、山間を一回りしながら小川をピョン!っと飛び越えていました。匂いでわかるみたいで僕たちのほうに来ることもなく、吠えることもなく、決められたルートを回っているようでした。すごい!