MOVEラボ研究員がレポート! この夏、ぼくは「化石ハンター展」に2回は行こうと思う
国立科学博物館で開催「化石ハンター展」一足先に研究員助手のひであきが行ってきました
2022.07.28
恐竜好きの子どもたちは必見! 伝説の化石ハンターの軌跡をたどる
MOVEラボ・中学生メンバーがみた「化石ハンター展」
今回、レポートしてくれたのはMOVEラボの中学生メンバーである助手のひであき(中3)。恐竜が大好きで小学生の頃からMOVEラボの活動に参加。中学生になった今では、研究の幅をグッと広げて、恐竜や化石、石についての研究を深めています。
<MOVEラボ研究員とは?>
MOVEラボ研究員は、厳正な選考によって選ばれた、生きものや自然科学に興味のあるMOVE読者の代表です。研究員は、MOVEラボの活動に参加し、フィールドや博物館、動物園などをリアルに楽しみます。また、ラボの研究員は、自分たちの研究レポートをMOVEラボのサイト上で発表します。
メンバーは現在18名! 中学生以上は「助手」として活動しているよ!
https://lab.zukan-move.kodansha.co.jp/
今回の特別展のコンセプトは「化石ハンター達の探検を追いかける」というもので、ロイ・チャップマン・アンドリュースと彼の背中を追いかけたハンター達に焦点を当て、彼らの物語を紡いでいくというイメージを持ってつくられたそう。
本展ではモンゴルのゴビ砂漠とチベット高原で見つかった化石を主に紹介しており、どれも重要な化石のため、一日中楽しめそうだ(足が棒になったことを除けば)。そして、頭上の展示物は見逃しやすいため、上も注意しながら観覧することをお勧めする。また、モニターに映し出される解説動画を見ながら展示物を追う形となるため、動画も見落とさないようにしてほしい。
内覧会にいらした木村先生によると、普通の展覧会だと1つのテーマで最後までいくものだけれど、アジア発の新しい学説「アウト・オブ・チベット」を広く紹介したいということから、2つのゾーンにあえて分けたそうだ。
本展は章が7つあるので、各章の見どころを紹介したい。
第2章では、主にゴビ砂漠でアンドリュースによって発見された化石の代表的なものが並んでいる。その中でも特に興味深かった物が、プロトケラトプスの成長過程が一目で分かる展示である。特に、著しく成長しているフリルに注目して欲しい。どんどん丸く、横長になっていくのがよく分かる。
第4章では、主に哺乳類の展示がされている。この展示の面白い所は、体長7m越えのパラケラテリウムの全身骨格の反対側の壁に、5cmにも満たない小さな齧歯類(ネズミの仲間)を展示していることだ。これらはすべてアンドリュース率いる中央アジア探検隊によって発見されており、これだけ大きさに差がある化石を取りこぼさない中央アジア探検隊は凄いと感じた。
第5章では、主にチベット高原の成り立ちと、生態系に与えた影響について解説している。ここでの話が、後の展示を理解するのにとても重要なので、しっかりと見ることをお勧めする。
とはいえ、ラストまでに疲れてしまうかもしれないので、最後までじっくりと見たい人は、奥のベンチで一度休むといい。
この展示は、いきなり現れた来場者に驚き、家族を守ろうとするオスのケサイ(骨格標本)と、雪で遊ぶ子供と、それを見守るメスのケサイ(生体模型)が表現されている。そして、このチベットケサイの発見によって提唱された仮説が、「アウト・オブ・チベット」説だ。
詳しくは展示を見ていただくとして、このチベットケサイ、実は既存のケブガサイよりも、眼球より上の頭骨の反りが弱いこと、また鼻孔から反対側が見えていて、左右の鼻孔の仕切りがおそらく軟骨で化石に残っていないこと、などから、より原始的な種だと分かったことが学説の元になっているそうだ。
最後の第7章では、研究者の話や、いつも使用している道具の数々が並んでいるが、大体の模様は一般的で、研究者達と少なからず親近感を覚えるかもしれない。また、彼らの話を読んでいても、特段、研究者になるために恵まれた環境ではなかったケースもあるし、決して雲の上の人ではなく、時の運を味方に付ければ、あとはひたすらがむしゃらに、という感じがした。
取材・文・写真提供(一部のぞく)/MOVEラボ研究員・松岡秀明
特別展「化石ハンター展 〜ゴビ砂漠の恐⻯とヒマラヤの超大型獣〜」
開催期間:2022 年 7 月 16 日(土)〜10月10日(月・祝)
※会期等は変更になる場合がございます。
会場:国立科学博物館(東京・上野)
https://kaseki.exhn.jp/