田んぼはカエルやトンボの宝庫! 5668種もいる “生きもののワンダーランド”
科学ジャーナリスト・柴田佳秀先生が田んぼで出会った生きものたちvol.1
2022.08.26
科学ジャーナリスト:柴田 佳秀
田んぼは生きものの宝庫!
それらの生きもの中には、害虫と呼ばれるイネを食べてしまう虫やイネの養分を吸ってしまう草などの困った存在がいます。
ある研究によると、顕微鏡で見ないとわからないくらいの微小生物から大きな鳥まで、なんと5668種が全国の田んぼに生息していたそうです。まさに田んぼは生きものの宝庫なんですね。
田んぼといえばカエル
カエルの田んぼ好きはかなりのものですね。では、なぜ、カエルは田んぼに多くいるのでしょうか。その答えはカエルの暮らしぶりを知るとわかります。
田んぼは子育ての場
春、田植えの準備で水が入れられると、土の中で冬眠していたカエルが姿を現します。そして、田植えが終わる頃に一斉にケロケロと鳴きはじめます。鳴いているのはオスで、メスを呼ぶために懸命に鳴いているのです。
ですから、「うるさいからやめろ」と言われてもそれは無理な注文。子孫を残せるかどうかがかかっていますからね。そして、めでたくカップルになるとメスは卵を産み、その数は800~2000個にもなります。
やがて卵は孵化してオタマジャクシになり、ひと月半ほどで手足が生えてカエルとなって陸上の生活を始めます。
また、カエルの種類によって、卵を産む場所や季節が違います。アカガエルのなかまは、早春の水が凍るような時期に卵を産みます。シュレーゲルアオガエルは、春に畦の土の中に卵を産みます。このように種によって田んぼの利用法が違うのも、多くのカエルが生息できることを可能にしているのです。
田んぼはレストラン
カエルの食べものは昆虫です。イネには、ウンカやイナゴといったイネを食べる虫が多く集まりますし、周りの畦や土手の草にもいろいろな虫がいます。ですから、田んぼは、カエルにとって食べものがたくさんあるレストランみたいなところなのです。
また、農家の人にとっても、イネを食べる虫は害虫ですからカエルに食べてもらえるのは大歓迎。とってもありがたい生きものなので、昔から大切にされてきました。
柴田 佳秀
元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。
元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。