CTスキャンで歴史が覆る!古生物学者が解き明かす新種アンモナイトの真実とは?

【ちょっとマニアな古生物のふしぎ】古生物学者・相場大佑先生が見つけた古生物のふしぎ

古生物学者:相場 大佑

ヘテロカリネラ・ジャポニカの生態復元画(軟体部の形状および殻の模様は化石が未発見であるため想像による;相場大佑 制作・提供)
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大むかしの生きもの

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中生代白亜紀の新種のアンモナイト研究に新発見!

最近(2026年8月)、北海道で発見した中生代白亜紀の新種のアンモナイトを報告する論文が出版されました。今回はその研究でわかったことをお話ししたいと思います。
今回の新種はソフトクリームのような形をした殻をもつ異常巻アンモナイトの仲間で、𝑯𝒆𝒕𝒆𝒓𝒐𝒄𝒂𝒓𝒊𝒏𝒆𝒍𝒍𝒂 𝒋𝒂𝒑𝒐𝒏𝒊𝒄𝒂(ヘテロカリネラ・ジャポニカ)と命名しました。
ヘテロカリネラ・ジャポニカの化石3点(すべて三笠市立博物館所蔵)
CTで撮ったヘテロカリネラの断面画像を見ると化石の内部構造がよく写っていました。アンモナイトの殻の内部には連室細管と呼ばれる管が通っています。この管はアンモナイトが成長する上で役に立っていたと考えられているものです。
見つかった化石は全部で3個、約4cmの化石が1つ、約1.5cmの化石が2つで、比較的小型の種類です。殻の横に線状に発達した鋭い高まり「キール」があることが最大の特徴です。この特徴は、これまで知られている種類とはかなり違う特徴をもつために新属新種となりました。

実は化石自体は20年以上前に採集され、以前勤めていた博物館の収蔵庫にありました。新種であることはほとんど確信していたものの、どのアンモナイトに近いものなのかが全くわからず、発表できずにいました。
2025年、一度この化石のCTを撮って、化石の中身を見てみようと思い立ちました。もしかしたら化石の内部構造に答えがあるかもしれないと思ったからです。
ヘテロカリネラ・ジャポニカの殻内部を写したCT画像
CTで撮ったヘテロカリネラの断面画像を見ると化石の内部構造がよく写っていました。アンモナイトの殻の内部には連室細管と呼ばれる管が通っています。この管はアンモナイトが成長する上で役に立っていたと考えられているものです。
ツリリテス科とノストセラス科、ヘテロカリネラ・ジャポニカの連室細管の位置の比較(写真の化石はすべて三笠市立博物館所蔵)
白亜紀後期に生きたアンモナイト中で、ソフトクリームのような形をしたグループは、ノストセラス科とツリリテス科の2つが知られていますが、連室細管が通る位置にそれぞれ特徴があります。ノストセラス科では殻側面の真ん中付近から下の方にあるものが多く、ツリリテス科では殻側面の上の方にあるものが多いという違いです。

CTで写ったヘテロカリネラの連室細管は螺環の上の方にありました。これはツリリテス科の特徴です。このことから、ヘテロカリネラがツリリテス科に含まれるものであることがわかりました。

しかし、見つかった地層の時代が問題でした。

今回の化石は、白亜紀サントニアン期(約8630万~8360万年前)の地層から見つかったものですが、サントニアン期の地層からはこれまでにツリリテス科の化石が見つかっていません。ツリリテス科が生息していたのは、サントニアン期よりももっとずっと前、白亜紀前期アルビアン期中期から白亜紀後期セノマニアン期末まででした(約1億800万年前~9390万年前)。サントニアン期には、ツリリテス科に代わってノストセラス科が繁栄していました。

化石の形はツリリテス科に近いのに、時代的にはノストセラス科に近い。この場合は、形と時代のどちらを信用するべきでしょうか。

私は形のほうを信用することにしました。そもそも化石の分類には時代は関係ありません。時代がどうであれ、形が近いもの同士を仲間と考えるのが基本です。

さらに、過去の研究論文を調べていてわかったことがありました。実は、セノマニアン期よりも後の時代に生きていたツリリテス科のアンモナイトが、新種ヘテロカリネラ以外にも実はいたということです。
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今回の研究による新説とは?

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