ビッグマッチを前に突然行方不明になったプロボクサー、ダイナマイト・ジョーはピエロとなってショーに出演していました。
実は、今までジョーが勝つラウンドを予言していたペットの超深海生物「ピーター」が、次の試合ではジョーが負けると予言したため、逃げ出したというのです。
その夜、山火事の熱を受けて、特殊なリンパ液を持つピーターは巨大化し、ジョーは苦しむピーターを海へと誘導しようとしますが、ピーターは炎に包まれて姿を消してしまいます。
翌朝、ピーターを失ったジョーはプロボクサーに復帰するため、決意に満ちた表情で歩みを進めるのでした。
『ウルトラQ』のエピソードとしては、「悪魔ッ子」「あけてくれ!」にも通じる「奇妙な味」をもった作品で、ピーターの勝利の「予言」もジョーの心の声だった可能性を残すものとなっていました。
絶好調にも思えた人間の心の弱さと、それ故の逃避から立ち直っていく姿をていねいに描いたドラマチックな作品で、観ると元気が出るエピソードになっています。
いつも小さなピーターが最後に巨大化する以外には、人間サイズで人を驚かすシーンがあるぐらいなので、もう少し活躍してほしかったという思いはありますが、ジョーの心の一部ともいえるピーターを攻撃するのもかわいそうな話で、新たな挑戦に燃えるジョーの活躍を祈ってあげるのがいいのではないでしょうか。