ホーキング博士に師事した物理学者が説く「宇宙人と出会ったら?」

科学入門書『ウルトラマンと学ぶ 宇宙と生命体』の著者、高水裕一氏が『ウルトラマン』に登場する宇宙人との接し方を語る。

スティーヴン・ホーキング博士に師事した宇宙論の研究者である高水裕一氏が、『ウルトラマン』シリーズに登場する宇宙人を明快に解析! 彼らの侵略目的から接し方まで、科学的な知見に基づいて空想&レクチャーします。
▲メフィラス星人と出会ってしまったら、どうする?  ©円谷プロ

宇宙人との遭遇

これは、SF愛好家なら、だれでも一度は考えてしまうテーマですよね。私も大のSF好きなので、そのことを考えすぎて、ついには科学新書のブルーバックスで「本」にしてしまったほどなのです。
さて、仮に彼らが地球にやってきたとして、まずはその目的を探っていきましょう。

目的は大きく分けて2つほどあります。

ひとつは平和的。
そしてもうひとつは侵略的。

住んでいる私たちからすると、侵略目的でくる宇宙人は勘弁してほしいものです。

「ウルトラマンシリーズ」でも、そんな、地球が欲しくてたまらない宇宙人がたくさん登場します。そして、その侵略の目的は宇宙人によって様々なようで、どのようなものがあったでしょうか?

その目的は?

たとえばバルタン星人は、故郷の星を失ったあと、20億を超える人口の住居を求めて、地球に来ました。
▲深刻な人口問題を抱えていたバルタン星人  ©円谷プロ
故郷を失ったと言えば、ペガッサ星人もそうでしたね。

彼らは宇宙空間都市を作り上げたので、住居の問題は解決済みでした。

しかし、その空間都市が地球との衝突が避けられない事態に陥り、地球に工作員を送り込みました。
▲衝突回避のミッションをうけおって潜伏したペガッサ星人  ©円谷プロ
バルタン星人の「移住型」やペガッサ星人の「危機回避型」などの来訪には「切迫した事情」があっての、やむを得なさを感じます。

しかし、メフィラス星人の場合はどうでしょう?

「美しい地球が好きになった」

これがその理由です。

好きになってくれたのは率直にうれしいのですが、それを我が物にしようとするのは、独占欲が強すぎる気もします。本人曰く「紳士的」な手法でそれを成し遂げようとするのですが……。
▲「宇宙人同士が戦ってもしようがない」と提言  ©円谷プロ
このような「コレクター型」の侵略はたまったものではありません。一刻も早くお引き取り願いたいものです。
ちょっと話がそれました。ここで、いったん話を「移住型」に戻します。

移住するためにくる場合、大気が異なるということが最大の壁になります。

そのため、いきなり異星人が大挙してやってくるのではなく、まず先に「調査員」が地球に来るのが、いちばんあり得そうな話です。

『帰ってきたウルトラマン』に登場したメイツ星人は、地球の風土、文明などの調査にきた宇宙人です。しかし、地球の大気がかなり汚れていたことで、身体機能に悪影響がでて、病気になってしまいました。

侵略の目的はほかにも

「移住」と同じくあり得そうな設定は、「地球の何かの物質」が、その惑星の人にとって貴重で必要なものだからというものです。

たとえば、水が貴重であるとか、もっと意外な、さらに例えれば、お米がその宇宙人にとってめちゃめちゃ高価な貴重品だとか、いろいろ空想してみてください。

『ウルトラセブン』では、「鉄」という資源を求めた宇宙人が、クレージーゴンというロボットを操り、自動車を大量に奪っていきました。
▲「鉄」を略奪するために自動車を回収するクレージーゴン  ©円谷プロ
資源を泥棒する宇宙人は、困りもの。

地球人はそうありたくないものです。

しかし、そうとも言ってられません。

宇宙には、ほとんどがダイヤモンドだけでできた惑星もあるのです。

その惑星に宇宙人がいれば、ダイヤモンドなんて、私たちの土みたいにありきたりのものになっているはずです。その宇宙人の公園では、ダイヤモンドのお砂場で無邪気に遊ぶ光景があるかもしれません。

しかし、もし地球人がその惑星に到達したら、はたして「友好的」でいられるのか?
ちょっと自信がありません。
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