
「誰ひとり俺のことを知らない場所に行ってしまえば、俺は自分の未来を忘れていられる」。アメリカのダラスから日本にやってきた千樹 憐は、野宿していたところを拾われ、遊園地に住み込みで働いていた。
明るい好青年の憐だったが、その素性は上司である針巣にも、同僚で、同年代でもある尾白にも話さない。学校には行っていないようなのに、高校生である尾白の生物の宿題を簡単に解いてしまう憐。尾白は、「親に連絡を入れたほうがいい」と憐に話すが、憐の親は「DNA」らしい。
最近、世間では「バンニップ」と呼ばれる、人間を食べてしまう怪物の存在が都市伝説のように広まっていた。MP(メモリーポリス)の情報操作により、その存在を世間から隠されていたスペースビーストだったが、最近頻発する奇妙な事件・事故や、その生存者の多くが記憶を無くしている不可解な現象などから、人びとは潜在的に恐怖や不信感を覚えるに至っていたのだ。