今回はファンの高い人気を誇る、日本SFドラマの金字塔『ウルトラセブン』(1967年)です。
パワーアップ策が宇宙SFを盛り上げる!
さらに『ウルトラマン』よりもパワーアップした作品とするために、『ウルトラセブン』には数々のアイデアが盛り込まれました。
宇宙人が地球人と命を共有したウルトラマンと違って、モロボシ・ダンはウルトラセブンその人自身である宇宙人で、主人公とヒーローがより一体化するとともに、宇宙人としての目線や苦悩を演じることができました。
防衛チームも、国際科学警察機構の日本支部だった科学特捜隊から、守備範囲を宇宙にまで広げた地球防衛軍極東基地のエリート部隊であるウルトラ警備隊となり、地球規模での巨大な組織やさまざまなスーパーメカが描かれました。
また『ウルトラマン』よりも視聴者の年齢層を上げることも意図され、『ウルトラセブン』ではダンとアンヌの物語がたびたび描かれて、最終回の盛り上がりに一役買うことになりました。
カプセル怪獣はレッドキング、ペギラ、アントラー!?
ところで、『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』の大きな違いとして、ウルトラマンに比べてウルトラセブンがピンチに陥ることが多いということがあるのではないでしょうか。
もちろんウルトラマンも強敵怪獣相手に苦戦するときがありました。
前後編となった古代怪獣ゴモラとの戦いや、最終回での宇宙恐竜ゼットン戦以外でも、磁力怪獣アントラー戦、毒ガス怪獣ケムラー戦、変身怪獣ザラガス戦といったギリギリの戦いも見られましたが、基本的には「強いヒーロー」というイメージを視聴者に抱かせていました。
しかしウルトラセブンは、変身アイテムであるウルトラアイを奪われたり、軍艦ロボット アイアンロックスに捕まえられたり、凍結怪獣ガンダー戦では零下での闘いに苦しめられたり、分身宇宙人ガッツ星人に十字架にかけられたりとピンチの連続でした。
それでも、爽快感のあるウルトラセブンのアクションやモロボシ・ダンの爽やかさに満ちたガッツ、さらにはウルトラ警備隊に対する信頼感などによって、ウルトラセブンに弱いイメージはまったくつかず、どんなピンチもはね返す強いヒーローとして今も輝き続けているのではないでしょうか。
『Qからシン・マンまで』でウルトラマンシリーズ史をチェック
ウルトラマンシリーズを観るときのお供として、ウルトラヒストリーを振りかえるテキストとして、ぜひチェックしてみてください。
テレビマガジン編集部
日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga Instagram:@tele_maga
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