『ウルトラセブン』はピンチを逆転するヒーロー!

『講談社MOOK ウルトラQからシン・ウルトラマンまで』よりぬきコラム【第3回】

テレビマガジン編集部

きら星のごとく輝く傑作ぞろいのウルトラマンシリーズの誕生の秘密を解き明かすムック『ウルトラQからシン・ウルトラマンまで』から、テレビシリーズ1作品ずつその魅力をお伝えしましょう。

今回はファンの高い人気を誇る、日本SFドラマの金字塔『ウルトラセブン』(1967年)です。
ウルトラセブンのかっこよさには、ウルトラ警備隊のメカにも通じるスマートさを感じます。  ©円谷プロ PHOTO/講談社

パワーアップ策が宇宙SFを盛り上げる!

定評がある、ウルトラホークなどのウルトラ警備隊のメカの美しさ。  ©円谷プロ PHOTO/講談社
『ウルトラマン』の大ヒットを受けて円谷プロが打ち出した新たな路線は、テーマとして宇宙を大幅に取り入れた硬質なSFでした。

さらに『ウルトラマン』よりもパワーアップした作品とするために、『ウルトラセブン』には数々のアイデアが盛り込まれました。

宇宙人が地球人と命を共有したウルトラマンと違って、モロボシ・ダンはウルトラセブンその人自身である宇宙人で、主人公とヒーローがより一体化するとともに、宇宙人としての目線や苦悩を演じることができました。

防衛チームも、国際科学警察機構の日本支部だった科学特捜隊から、守備範囲を宇宙にまで広げた地球防衛軍極東基地のエリート部隊であるウルトラ警備隊となり、地球規模での巨大な組織やさまざまなスーパーメカが描かれました。

また『ウルトラマン』よりも視聴者の年齢層を上げることも意図され、『ウルトラセブン』ではダンとアンヌの物語がたびたび描かれて、最終回の盛り上がりに一役買うことになりました。

カプセル怪獣はレッドキング、ペギラ、アントラー!?

再生怪獣ギエロン星獣との戦いでも、ウルトラセブンは苦戦を強いられました。  ©円谷プロ PHOTO/講談社
その一方で、『ウルトラQ』『ウルトラマン』で得た人気をパワーとすべく、ウルトラセブンを助けるカプセル怪獣としてレッドキング、ペギラ、アントラーなどの登場が企画されました。結果的に怪獣のラインナップはオリジナル怪獣であるミクラス、ウインダム、アギラに変更されたものの、彼らはみごとに受け入れられて人気怪獣となりました。

ところで、『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』の大きな違いとして、ウルトラマンに比べてウルトラセブンがピンチに陥ることが多いということがあるのではないでしょうか。

もちろんウルトラマンも強敵怪獣相手に苦戦するときがありました。

前後編となった古代怪獣ゴモラとの戦いや、最終回での宇宙恐竜ゼットン戦以外でも、磁力怪獣アントラー戦、毒ガス怪獣ケムラー戦、変身怪獣ザラガス戦といったギリギリの戦いも見られましたが、基本的には「強いヒーロー」というイメージを視聴者に抱かせていました。

しかしウルトラセブンは、変身アイテムであるウルトラアイを奪われたり、軍艦ロボット アイアンロックスに捕まえられたり、凍結怪獣ガンダー戦では零下での闘いに苦しめられたり、分身宇宙人ガッツ星人に十字架にかけられたりとピンチの連続でした。

それでも、爽快感のあるウルトラセブンのアクションやモロボシ・ダンの爽やかさに満ちたガッツ、さらにはウルトラ警備隊に対する信頼感などによって、ウルトラセブンに弱いイメージはまったくつかず、どんなピンチもはね返す強いヒーローとして今も輝き続けているのではないでしょうか。

『Qからシン・マンまで』でウルトラマンシリーズ史をチェック

『講談社MOOK ULTRAMAN HYSTORICA ウルトラQからシン・ウルトラマンまで』では、『ウルトラQ』から『ウルトラマントリガー』までのウルトラマンシリーズと、『シン・ウルトラマン』を深掘りすることで、ウルトラマンシリーズの歴史を追った一冊です。

ウルトラマンシリーズを観るときのお供として、ウルトラヒストリーを振りかえるテキストとして、ぜひチェックしてみてください。
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『講談社MOOK テレビマガジン特別編集 ウルトラセブン EPISODE No.1~No.49』(税込定価2970円)発売中! ※第12話は掲載しておりません。

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てれびまがじんへんしゅうぶ

テレビマガジン編集部

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga  Instagram:@tele_maga

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga  Instagram:@tele_maga