むすび丸がつれていかれた!?
「いかがなされた? 何かお困りごとかな?」
不安げなスタッフに気づいて、殿が観覧席から話しかけました。
「実は、むすび丸さんが行方不明なんです。連絡も取れなくて」
「なんと! むすび丸が行方不明!?」
会話を聞いていたほかのお客さんたちが、驚いて殿のほうを見ます。
「むすび丸が行方不明なんだって」
「ええ! 何かあったのかな」
「事故とかじゃないといいけど……」
心配の声がどんどん広がります。ざわつく観覧席の中から、ぴょーんと桜色の頭が飛び上がりました。
「むすび丸のこと、今朝見ました!」
叫んだのはさくらっきーです。
「散歩していたら、黒い車にむすび丸が乗っていたんです! 頭の三日月が見えたから、まちがいありません。てっきりテレビ局の車だと思ったんだけど……。」
散歩が好きなさくらっきーが、偶然、むすび丸を見ていました。
「なぬ!? 黒い車に?」
殿の脳裏に、車で連れ去られるむすび丸の姿が浮かびます。
「……もしかしたら、誘拐されたのかもしれませんね。これはゆゆしき事態です」
岩沼係長が、黒めがねをクイッと上げて言いました。
誘拐と聞いて、殿の片目がキラリと光ります。
「ここ仙台でそのような悪行は許せん! さくらっきー殿、その黒い車とやらは、どちらに向かったかおわかりか?」
「ええと、広瀬川の橋を渡って、仙台城跡のほうに向かっていきました!」
それを聞くと、殿がすっくと立ち上がりました。
「みなのもの、むすび丸を助けにまいるぞ!」
「はっ!」
家臣の武将たちもいっせいに立ち上がり、殿のあとに続きます。
「あ、待って! 私も行きます!」
「ふむ。私もまいりましょう」
さくらっきー、岩沼係長も走り出します。
「待ってください、さくらっきーさん、岩沼係長さん! 私たちも行くので、車で行きましょう!」
スタッフも大あわて。
仙台城は、約400年前、伊達政宗公が建てた城です。その跡が今の仙台城跡で、青葉山という丘の上にあります。青葉山のことなら、殿は何でも知っています。
馬に乗った武将たちが、むすび丸を探して広い青葉山を駆け巡ります。と、そこに木から木へと飛びうつって移動する影がひとつ。くノ一の響(ひびき)です。
「殿! むすび丸を見つけました!」
「よし! 案内せよ!」
「ははっ」
むすび丸は無事なのか⁉ 第3回は3月7日更新!
仙台城と伊達政宗
仙台城(青葉城)は、初代仙台藩主伊達政宗が造ったお城。今はもうお城はなくなっているけれど、伊達政宗公騎馬像が立っていて、仙台市を一望できるよ。伊達政宗は子どものころに天然痘にかかり、右目を失明してしまったけれど、それを克服して戦国大名として活躍。黒いかぶとに三日月の前立てがかっこいい!


















































































