
『NO.6再会#2』がいよいよ発売! あさのあつこが細谷佳正に読ませたいネズミの「衝撃台詞」とは
作家・あさのあつこ×声優・細谷佳正 『NO.6[ナンバーシックス]再会#2』刊行記念スペシャル対談 後編
2025.09.20
ライター:山口 真央
あさの「『#2』には細谷さんに読んでもらいたい台詞があります」

細谷:『NO.6再会#1』を読んで、ネズミが何故帰ってきたのか? という理由も気になりました。そして「これから破壊がはじまる」というセリフが何を暗示しているんだろうと。テレビアニメを13年前に走り切ったので、そこからどういう角度で新しい物語が展開していくのかが凄く気になっています。
小説を読んで感じたんですけど、イラストレーターの方は、ネズミが好きなんだろうなと思いました。前半の挿絵は1枚だけなのに、ネズミが登場してからは短い間隔で、2枚の挿絵が出てきていたから(笑)。
あさの:私も実は、びっくりました。でも絵にするんだったら、ここしかないなって思いもあって。イラストレーターのtoi8さんも完璧に描いてくださいました。かっこいいんですよ、ネズミって。私にとっても理想形です。
──『NO.6 再会』シリーズで好きな台詞やシーンを教えてください。
細谷:ネズミが、紫苑の母である火藍(からん)と、二人で話をするシーンで彼が「紫苑をあなたから奪っていいか」と言うシーンがとても印象に残りました。このシーンで火藍の、紫苑に対しての気持ちの変化が物凄く大きくて。最初は、火藍が紫苑を思う気持ちは、恋人に近い感じがしたんですけど、最終的には愛しているからこそ紫苑を手放してもいいと思い至るじゃないですか。短い間に物凄いスピードで火藍の心情が変化していく様子が凄く印象的でした。
あさの:私も「えっ」と思いました。私も母親なので、火藍を書くときはどうしても母親目線で書くんです。究極の母親って、息子でも娘でも、望むなら手放せるってことだと思っていたんです。一方で、ネズミは何なんだろう、と。ネズミが紫苑に向けてる気持ちが、未だにわからなくて。……やだ、あの台詞を細谷さんに言われたらどうしよう、私(笑)。
細谷:あれは、小説の中のネズミが言うからいいんですよ(笑)。あのシーンを読んで、ネズミって優しいんだなと思ったんですよ。火藍の望むことがわかっているから、それを引き出すために振る舞っているように見えました。
あさの:なるほど……って、私が納得してどうする(笑)。でもあの「奪っていいか」っていう一言に対する火藍の答えも、これから書いていかなきゃいけないと思っています。
細谷:今日は中々聞けないお話をたくさん聞かせていただいて、ありがとうございました。
あさの:こちらこそ、ありがとうございました!

あさのあつこ
岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991年『ほたる館物語』で作家デビュー。97年『バッテリー』で第35回野間児童文芸賞、2005年『バッテリーⅠ~Ⅵ』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説までさまざまなジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。
細谷佳正
広島県生まれ。アニメ、吹き替え、ナレーションなど、声優として幅広い分野で活動している。2014年、2016年と声優アワード助演男優賞を受賞。2023年には、舞台『ハーヴェイ』でエルウッド役を務め、初主演を果たした。主な出演作に、『真・侍伝YAIBA』鬼丸猛役、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』オルガ・イツカ役、『進撃の巨人』ライナー・ブラウン役、『この世界の片隅に』北条周作役など。

シリーズ累計230万部超え、2人の少年の友情を超えたディストピア小説の傑作
・『NO.6再会#1』発売告知後、即Xでトレンド1位!
・『NO.6再会#1』Amazon1位(SF・ホラー・ファンタジー6月6日調べ)
・『NO.6再会#1』ジュンク堂池袋本店総合1位(2025年6月2日調べ)
・『NO.6再会#1』トーハン週間ベストセラー文芸書2位(2025年6月3日調べ)
度重なる戦禍で地球環境が壊滅した世界に生きる紫苑とネズミ。「NO.6」のエリートとして育てられた少年・紫苑(しおん)と、「NO.6」の外に広がるスラム地区「西ブロック」に住むミステリアスな少年・ネズミは、腐りきった偽りの理想都市を崩壊させた。二人は、新世界を再構築できるのか。真っ直ぐすぎる二人の未来の命運をわける2巻。
──きみは、ぼくを摑めないと言ったけれど、ぼくにとっては、きみこそが謎だ。確かに存在しているのに決して手に入らない。
●「NO.6」シリーズ読者からの感想
「たくさん本は読んできたけれど、これ以上面白い本に出会ったことがない」
「呼吸を楽にしてくれた本」
「死にたくなったらネズミの言葉を思い出します。逃げずに前へ進め! 現実を見ろ!
どんなに現実が辛くても光を見いだせる人になりたいと思います」
「泣きたくなった夜に読みます。おまえはどうありたいんだ? いつでも自分にできることを問いかけ、動きつづけたいと思います」
●あさのあつこさんからのメッセージ
声を聞きました。ネズミの声です。
「生きる場所も死ぬ場所も自分で決める。あんたじゃなくおれが決める。余計なお節介は止めてもらおうか」と。
そうか、彼らはすでに出逢い、運命を紡ぎ始めているのか。
だとしたら、わたしも、もう一度だけ、本当にもう一度だけ、彼らに手を伸ばそう。この手で彼らの生に触れてみよう。
『NO.6』の作者として戦ってみよう。あれほど恋い焦がれた少年たちに挑んでみよう。
今はただ、それだけを考えています。
14年の時を経て、あなたに再び『NO.6』を届けます。
人物撮影/柏原力(講談社写真映像部)

あさの あつこ
岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991 年『ほたる館物語』で作家デビュー。97 年『バッテリー』で第35 回野間児童文芸賞、2005 年『バッテリーI~VI 』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説まで様々なジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。
岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991 年『ほたる館物語』で作家デビュー。97 年『バッテリー』で第35 回野間児童文芸賞、2005 年『バッテリーI~VI 』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説まで様々なジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。
山口 真央
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。