
「寝るのはイヤ!」という子に贈りたい “名月シーズン”の「お月さまの絵本」3選[絵本の専門家が選出]
子どもの本のプロが選ぶギフト絵本 #26~お月さまの絵本~ (4/4) 1ページ目に戻る
2026.09.23
絵本コーディネーター:東條 知美
最後にご紹介するのは、『ふしぎな月』(理論社)。
古来、月には大きな力が宿るといわれてきました。月の満ち欠けが海の形を変化させ、生命の営みを支配する──。こうした現象は、今やさまざまな研究によって解き明かされていますが、それでも私たちは、月に人知を超えた不思議な力を感じて、祈ったり、願いを託したくなるものです。
『ふしぎな月』は、満月の夜を舞台に、この世の情景と、そこに生まれる幻想や祈りを静かに描き出す散文詩です。
空にまるい月がのぼった夜、林の中では、月光を浴びた虫がいっせいに羽ばたきます。妖精に姿を変えて舞い踊る彼らは、この夜を祝福しているかのよう。土の下で眠っていた種は目を覚まし、ぐんぐん伸びて、野を一面の花で満たします。
海の魚たちはダイナミックに空へと飛び出します。満月を取り囲むように泳ぐ、クジラ、ウミガメ、小さな魚の群れ。
家の中にも月光は差し込み、目を覚ました赤ちゃんが、夜空を悠々と飛び回ります。なんという美しい幻想、解放感に満ちたイメージでしょう。
そして、もちろん月は、戦場の空にものぼります。戦火で燃えさかる街から見える月。苦しみと悲しみの中、解放されない子どもたちは、がれきの中にたたずむことしかできません。この月を見上げる彼らは今、いったい何を思うのでしょうか。
終わりは、月に捧げる祈りのような言葉と、穏やかな朝の訪れを描いた絵で締めくくられます。すべての子どもが想像の羽を広げ、美しい世界を夢見ることができますように。美しい月夜に、親子で読んでいただきたい一冊です。
*読み聞かせ 5さいくらいから
*ひとり読み 小学1年生くらいから
取材・文/星野早百合
【関連書籍】




星野 早百合
編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。
編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。

































東條 知美
1973年、新潟県上越市生まれ。白百合女子大学児童文化学科卒業。メディアファクトリー(現KADOKAWA)、国立国会図書館、幼児教育専門学校、小・中学校図書館などでの勤務を経て、「絵本コーディネーター」の肩書で活動中。 子育てや教育、ジェンダーなどのテーマの下、絵本の可能性と魅力を幅広い世代に伝えながら、全国自治体で課題解決へのヒントを探る講演を行う。各種メディアのほか、バラエティ番組や情報番組にも出演。バンタンデザイン研究所では、絵本作家コースの講師を務める。 公式サイト https://www.tojotomomi.com/ ブログ「僕らの絵本」 https://ameblo.jp/bokurano-ehon/entrylist.html
1973年、新潟県上越市生まれ。白百合女子大学児童文化学科卒業。メディアファクトリー(現KADOKAWA)、国立国会図書館、幼児教育専門学校、小・中学校図書館などでの勤務を経て、「絵本コーディネーター」の肩書で活動中。 子育てや教育、ジェンダーなどのテーマの下、絵本の可能性と魅力を幅広い世代に伝えながら、全国自治体で課題解決へのヒントを探る講演を行う。各種メディアのほか、バラエティ番組や情報番組にも出演。バンタンデザイン研究所では、絵本作家コースの講師を務める。 公式サイト https://www.tojotomomi.com/ ブログ「僕らの絵本」 https://ameblo.jp/bokurano-ehon/entrylist.html