【試し読み連載】5分で読める都道府県ミステリー!「江戸っ子には向かない職業」(東京都)

『日本一周ナゾトキ珍道中』[1]

粟生 こずえ

イラスト:井出エミ
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1話5分で読めて、楽しく47都道府県が学べる新感覚のミステリー短編集『日本一周ナゾトキ珍道中』(粟生こずえ・著)が好評発売中! この記事では書籍のなかから、物語がスタートする最初のお話を全文無料公開します。名探偵と助手のコンビは、なぜ日本一周の旅に出ることになったのでしょうか?

(絵:井出エミ)

キリさん

「まあ、みごとに焼けたもんだなぁ。」

ブルーのパジャマ姿の男はメガネに手をやって、焼け跡をながめ回した。それから足元に転がっている「桐久廉太郎探偵事務所」と書かれたプレートを拾い上げる。

彼はほんの数日前までここに存在した探偵事務所の主人、「キリさん」こと桐久廉太郎(きりひさ・れんたろう)である。

マッキー

「あーあ、ホントに信じられないよ……。」

そのとなりでぼうぜんと肩を落としているのは助手の「マッキー」こと牧野貞助(まきの・ていすけ)。こっちはススでよごれたTシャツに短パンというかっこうだ。

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