【年越し】に親子で読む絵本4選 古き良き日本の年末年始がエモい!

大晦日に読みたい絵本 絵本コーディネーター・東條知美

絵本コーディネーター:東條 知美

小さな子どもたちの心をつかむ十二支の絵本

続いてご紹介するのは、今年発売されたばかりの『じゅうにしどこいくの?』(文:すとうあさえ、絵:おくはらゆめ)。『はじめての行事えほん』という、日本の伝統行事を子どもにもわかりやすく伝えるシリーズの1作です。

2・3歳児にもわかるシンプルな物語絵本で、大晦日から元旦にかけての特別な空気を伝える『じゅうにしどこいくの?』(文:すとうあさえ、絵:おくはらゆめ/ほるぷ出版)。

真夜中、十二支たちは急いで山を登っています。
ね、うし、とら、う……2匹ずつがペアになって、山のてっぺんをめざしているようです。十二支たちは、なぜそんなに急いでいるのでしょうか?

十二支の由来にスポットをあてた絵本はたくさんあるのですが、こちらはシンプルな物語絵本。絵本作家・おくはらゆめさんが描く、素朴でのびやかな十二支たちが登場します。小さなお子さんにとっては、12匹も動物が出てくるなんて、それだけでもスケールの大きなお話ではないでしょうか。

大人が読んでも、こんなに癒やされる十二支の絵本はないなと思って、選んでみました。最後にはパパママ向けに、作者のすとうあさえさんによるミニ解説がついていますので、十二支についてお子さんにバッチリ説明できますよ。

くまのこの年越し準備にほっこりなごむ

最後にご紹介するのは、『くまのこのとしこし』(作:高橋和枝)。お正月の準備をしている、くまの一家を描いた物語です。

「らいねんってなあに?」子どもの目線から年越しを描いた『くまのこのとしこし』(作:高橋和枝/講談社)。

「もう すぐ ことしも おわりだね」
「ことしが おわるの? おわったら どう なるの?」
「ことしが おわったら、らいねんが くるのよ」
「らいねん?」


『らいねんがくる』と聞かされたくまのこは、『らいねんって何だろう?』『どこからくるんだろう?』と、気になってしかたがありません。来年が“くる”と聞いて、“向こうからやってくる”というイメージを持ったのでしょうね。

お父さんお母さんが来年を迎えるために忙しく準備をしていると、くまのこもお手伝いをしようとします。

年賀状を書いているお父さんから「あたらしい としが きたね、おめでとうって、みんなに おくるんだ」と聞けば、「らいねんが くるのは、おめでたい ことなんだ!」と、らいねんのために輪飾りを作り、画用紙に『おめでとう』と書くくまのこ。

お父さんが玄関に松飾りを飾れば、森で拾った松ぼっくりを家中のあちこちに飾るくまのこ。

勘違いしながらも、自分なりに考えてお手伝いをする健気なくまのこが、とってもかわいい絵本です。くまのこと同じぐらいの小さなお子さんなら『自分もお手伝いをしよう』と思うかもしれないですし、少しお兄さんお姉さんなら、弟や妹を見るように、くまのこを愛おしく思いながら読めるのではないでしょうか。

作者の高橋和枝さんは、忘れてしまいそうなささやかな記憶をきちんと形にして表現される方。だから、絵本を読んだときに懐かしさや切なさが込み上げてきて、特別な記憶が呼び起こされるのかもしれません。年越しを迎えたときのくまのこの気持ち、共感するパパママもたくさんいらっしゃるはずですよ。

『かわいい』と思うことはいいことだなと、改めて感じさせる1冊。ぜひ親子で読んで、年末にほんわかしていただきたいなと思います。


取材・文/星野早百合

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とうじょう ともみ

東條 知美

絵本コーディネーター

絵本コーディネーター、講師、コラムニスト。1973年新潟県上越市生まれ。白百合女子大学児童文化学科卒業。在学中は桑原三郎氏(児童文学研...

ほしの さゆり

星野 早百合

ライター

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名...