【9~10歳】コミュニケーションがますます大切になる「小学校中学年」にピッタリな絵本 国立小・元司書教諭が厳選
【絵本でことばを育んだり心を耕したりすることで、国語力の素地を養う#6】親子で一緒に楽しむことから始まる読書習慣
2024.10.12
書店や図書館には多種多様な絵本が並びます。絵本を選ぶ際は、子どもの発達段階に合わせ、興味・関心のあるものを選ぶことが大切です。目の前の子どもの「今」に合った絵本を、一緒に選んであげてください。
そこで今回は、9~10歳の子どもたちに向けた絵本と、その選び方を紹介します。コミュニケーションがますます大切になる「小学校中学年」にピッタリな絵本を京都女子大学准教授の齊藤先生に教えてもらいました。
◆齊藤和貴(さいとうかずたか)
京都女子大学発達教育学部教育学科准教授。東京都公立小学校および東京学芸大附属小金井小学校にて28年間、教育活動や授業実践に取り組んできた経験を持つ。司書教諭の経験を生かし、「絵本を活用した授業づくり」にも精力的に従事。著書に『豊かな心と思考力を育む 絵本で広がる小学校の授業づくり』(小学館)などがある。
※6回目/全7回(#1を読む、#2を読む、#3を読む、#4を読む、#5を読む、#7を読む)(公開日までリンク無効)
コミュニケーションがますます大切になる「小学校中学年」の絵本選びのポイント
小学校中学年になると、だんだんと集中力や理解力もついてきて、自分一人で読書を楽しむ子どもが増えてきます。休み時間になると、学校の図書室に本を読みに行く「常連さん」も出てきます。ですから、絵本選びも少し長いストーリー絵本がおすすめです。
「子どもによっては絵本を卒業して、挿絵のある物語や小説へと移っていこうとすることもあります。それはそれで、その子の発達による要求ですから、否定する必要はありません。ですが、中学年になったからといって、親子での読み聞かせをやめる必要もありません。
自分で文字を読み始めて3~4年です。読み聞かせを楽しむ経験=誕生してからの年月も、10年に満たない子どもたちです。まだまだ一緒に読み聞かせを楽しんでください。あと数年したら、大人が望んでも子どもは自分から離れていきますから。
ふとんやベッドの中でも、ソファーに並んででも、親の膝の上に座らせてでも構いません。読み聞かせを通して、子どもは親の愛情を感じ、心の安心と安定を得て、生活への意欲を充塡していることでしょう」と齊藤先生は言います。
「中学年の子どもは、生活の中での行動範囲も広がり、自分から活発に世界を広げていこうとする時期にいます。ですから、絵本のジャンルは、主人公が冒険をしたり、不思議な世界に迷い込んだりするストーリー絵本が大好きです。きっと、登場人物と一緒に絵本の世界に降り立って、冒険をしていることでしょう。
そして、想像力をかき立てられ、善や悪に向き合い、困難に立ち向かう勇気や、信頼や友情を知ることでしょう。きっと子どもたちがぐっと成長していく姿に気づくのではないでしょうか。また、生きることの基本でもある命や食、遊びについて描かれた絵本を選んでみるというのも楽しいですよ」(齊藤先生)。