赤ちゃんに多い事故 「おぼれる」「体を打つ」「喉につまらせる」の対処法を小児科専門医が解説 

「0・1歳児の赤ちゃんのホームケア」#9「溺水・打撲・誤飲の対応方法」

小児科専門医・アレルギー専門医:岡本 光宏

体を打ったときのケアと受診の目安

次は、椅子や階段などから落ちたり転んだりして、体を打ったときの対応方法です。

【すぐに行うこと】
・赤ちゃんを引き上げて、名前を呼びながら肩をたたいたり、足の裏を刺激したりして意識を確認する
・意識がない場合は、気道を確保して人工呼吸を行う
・全身を見て、けがしている場所や状態をチェックする
・けがをしている場合は、状態に応じた処置を行う

〈小児科を受診〉
・機嫌が悪い
・打った場所を動かすと痛がる

〈時間外でも急いで受診を〉
・打った場所を動かすことができない
・打った場所がだらんとしている(骨折、脱臼の可能性がある)
・打った場所が変な曲がり方をしている
・意識はあるが、反応が鈍い、ボーッとしている

〈すぐに救急車を呼ぼう〉
・意識がない
・けいれんを起こした
・繰り返し吐く
・出血が止まらない、大量に出血している

「頭を打ったとき、直後は元気でも2日程度は注意深く観察するようにしましょう。

ボーッとしている、歩き方がおかしいなど、なにか気になることがある場合はすぐに受診を。また、頭を打った場合、何科を受診したらいいか迷う方もいらっしゃいますが、子どもの場合なら相談先は小児科で大丈夫です」
(岡本先生)

のどに異物をつまらせたら、すぐに救急車を

イラスト/オヨネ
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0歳児で多い事故は「転落・転倒」に続き、異物をのどにつまらせる「誤飲・誤嚥」です(※1)。気を付けていても、日常起こりやすい「誤飲・誤嚥」は、以下の対処法と受診の目安を覚えておくようにしましょう。

【すぐに行うこと】
・のどにものをつまらせ、呼吸が苦しそうなときは、すぐに救急車を呼ぶ

・口の中を確認し、異物が見えるなら指でかき出す

・「誤嚥・誤飲したもの」「量」「飲んだタイミング」を思い出し、同じものや類似のものなどがあれば確保しておく

・緊急性はない場合、医療機関などに相談をする
相談先…かかりつけ医、「中毒110番」、「#8000」

※1 国民生活センター発達をみながら注意したい0・1・2歳児の事故

〈注意したいポイント〉
・のどにつまった異物を掃除機で吸わない(舌を吸いこむ、異物を押しこんでしまうなどの恐れがある)
・何も飲ませない(水や牛乳などを飲ませると吐いてしまい、症状が悪化する可能性がある)
・飲んだものを吐かせない

〈小児科を受診〉
・異物を飲み込んだものの、とくに異変が見られない
・口の中のものを取り除き、症状はなくなったが心配

〈時間外でも急いで受診を〉
・何度も繰り返し吐く
・せきが止まらない
・ひどく痛がる
・ひどく機嫌が悪い

〈すぐに救急車を呼ぼう〉
・呼吸をしていない
・呼吸困難になった
・ひきつけやけいれんを起こしている
・顔色が悪い
・薬やタバコなどの毒性の強いものを飲んだ

「コイン電池は食道に引っかかって穿孔するためとくに危険です。中でも直径20mmサイズのコイン電池は要注意。子どものおもちゃに使われていることもあるので、兄や姉がいる家庭はより気をつけましょう」(岡本先生)

────◆────◆────

家の中には、赤ちゃんにとって危ない場所や危ないものが存在します。対策を講じていても、事故やケガが起きてしまうこともあるでしょう。

正しいケアの方法や受診の目安を把握しておくことは、いざというときにパニックになりすぎずに冷静に対応できるようにするためのママパパのお守りのような役割もしてくれるはずです。

赤ちゃんのホームケア、次回10回目は、「切り傷・すり傷」についてお届けします。

取材・文/畑菜穂子

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おかもと みつひろ

岡本 光宏

小児科専門医・アレルギー専門医

おかもと小児科・アレルギー科院長。日本小児科学会小児科専門医、認定小児科指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床研修指導医、日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命処置法インストラクター。 2009年奈良県立医科大学部卒業。同年神戸大学大学院医学研究科小児科学分野に入局。姫路赤十字病院、明石医療センターを経て、2019年より兵庫県立丹波医療センター 小児科医長。 2023年7月、兵庫県三田市で「おかもと小児科・アレルギー科」を開院。新生児から思春期の心の疾患まで幅広く診察している。3児の父として、子育てにも積極的に関わる。 著書に『研修医24人が選ぶ小児科ベストクエスチョン』(中外医学社)、『小児科ファーストタッチ』(じほう)など。 サイト「笑顔が好き」 https://pediatrics.bz/

おかもと小児科・アレルギー科院長。日本小児科学会小児科専門医、認定小児科指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床研修指導医、日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命処置法インストラクター。 2009年奈良県立医科大学部卒業。同年神戸大学大学院医学研究科小児科学分野に入局。姫路赤十字病院、明石医療センターを経て、2019年より兵庫県立丹波医療センター 小児科医長。 2023年7月、兵庫県三田市で「おかもと小児科・アレルギー科」を開院。新生児から思春期の心の疾患まで幅広く診察している。3児の父として、子育てにも積極的に関わる。 著書に『研修医24人が選ぶ小児科ベストクエスチョン』(中外医学社)、『小児科ファーストタッチ』(じほう)など。 サイト「笑顔が好き」 https://pediatrics.bz/

はた なおこ

畑 菜穂子

ライター

1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona

1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona