69自治体に拡大した「子どもの権利条例」 なぜ川崎市で最初に制定? 「国連子どもの権利条約」批准30年で何が変わった?

子どもの権利条約批准30周年“子どもの権利”の現在地#1~子どもの権利の成り立ち~

フリーライター:浜田 奈美

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1.差別されない権利。
2.子どもの最善が第一に考えられる権利。
3.生存し、健全に成長していく権利。
4.自分の意見を述べ、重視される権利。

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これらを4原則とする「国連子どもの権利条約」は、全54条で構成され、世界中の子どもたちが、安全な環境で安心して暮らし、固有の人格をもつ人間として尊重されて生きるために守られるべき権利を定めた国際法です。

背景には、2度にわたる世界大戦への反省がありました。

まず、1948年、無辜(むこ※何の罪もないこと)の市民が国のために命を奪われることのないよう「世界人権宣言」が採択されます。その後、戦争によって200万人ともいわれる子どもたちが犠牲になったポーランドから、「子どものための権利条約を作ろう」との提案がなされました。

そして1980年から本格審議が始まり、89年、国連の第44回本会議で全会一致で採択され、翌90年に発効されました。

ところが日本はこの条約を批准するまで、実に5年もの時間を要しました。世界で「158番目」という遅さです。学級崩壊など問題を抱える学校現場からの反発や、「子どもに権利など与えたら、一層わがままになる」といった誤解が、保守的な政治家の間に根強かったことから、批准が遅れたと言われています。

さらに批准から30年の間に、政府は国内の状況を5回にわたり国連に報告してきましたが、国連からは複数の項目について「取り組みが遅れている」と指摘され、「緊急の措置」をとるように勧告されてきました。

指摘を受けたのは「子どもの意見の尊重」や「体罰」、「家庭環境を奪われた子ども」などへの対応ですが、日本政府は長らく改善する姿勢を見せませんでした。

そんな中、国内でいちはやく「子どもの権利条例」を制定した自治体がありました。
神奈川県川崎市です。

地域の“市民会議”が条例を早める力に

2000年12月に「子どもの権利に関する条例案」が川崎市議会で可決、制定され、翌2001年の4月1日に施行されました。全41条の条例ですが、子どもが大人と同等の「人間」として尊重されるうえで重要な、7つの権利を明示しています。こんな内容です。

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1.いじめや差別、暴力を受けたりせずに「安心して生きる権利」。
2.自分のありようを他人から強制されない「ありのままの自分でいる権利」。
3.悩みや困りごとを相談できる大人に伝え、解決を目指す「自分を守り、守られる権利」。
4.遊んだり学んだり、時には休んだりして、「自分を豊かにし、力づけられる権利」。
5.何をやりたいか、どんな自分になりたいかなどを「自分で決める権利」。
6.学校の規則や市や区の決まり事の議論に、一人の人間として「参加する権利」。
7.生育環境や国籍、障がいの有無など、「個別の必要に応じて支援を受ける権利」。

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国連の「子どもの権利条約」の4原則をふまえ、さらに「子ども側」に歩み寄った内容になっています。

ではなぜ川崎が全国に先駆けてこの条例を制定できたのか。その理由を説明しましょう。

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