
キッザニア東京「小学生で卒業」なんてとんでもない! じつは「中学生のキャリア教育」にこそおすすめな理由を大解剖
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2025.12.28
コクリコサポートエディターズ:北林 日菜
中学生にとってキッザニアは退屈?
悩んだのは、中学生の息子を連れていくかどうかです。
「キッザニア」というと、未就学児から小学生向け施設というイメージが強く、「中学生はもう満足できないのでは……」と心配していたのです。早々に飽きて、保護者スペースでスマホをいじりだしてしまう姿も想像していました。
しかし実際は、小学生時代とはまた違った目の輝かせ方をしながら、閉館の21時までフルで楽しむことができたました。しかも、息子なりの成長も感じられ結果的に連れていって大正解でした。
息子が主に体験したパビリオンは次のとおりです。
・ビューティースタジオ「パフューマー」(コーセー)※妹と一緒に
・ソーセージ工房「ソーセージ職人」(日本ハム)※妹と一緒に
・ホースセンター「乗馬体験」(JRA)
・建設機械開発センター「建設機械開発者」(コマツ)
・家電専門店「家電コンシェルジュ」(ノジマ)
小学生のときは食べ物を作ったり、工作をしたり、とわかりやすいお土産がある体験に惹かれていました。一方、中学生になると「職業体験そのもの」に価値を感じて選んでいる姿が印象でした。
まずは、小4の妹と一緒に体験した「成果物のお土産があるもの」からご紹介します。これらも中学生なりの視点で楽しんでいたようです。
\マップやパビリオン早見表、年齢別のモデルコースもご紹介!『キッザニア東京 完全ガイド 2025-2026』/
◆ちょっと科学者っぽい? 「パフューマー」
コーセーのパビリオンでは、パフューマー(調香師)の体験をしました。お隣のヘア&メイクアップアーティストとは少し違う雰囲気で、白衣を身に着けるとなんだか科学者のようです。
「確かに、香りの成分を分析したら科学だもんね」
ここでは香りの効果や種類を学ぶだけでなく、「誰のための香りを作るか」を決め、その人のイメージや感じてほしい気分に合わせて数種類の香料を選んで調香するそうです。息子は母に、娘は父にそれぞれ作ることにしたそうです。
「お母さんの仕事の合間にリラックスしてほしいから、ウッディな香りを中心に作ったよ」
単に香りを混ぜてできあがり! ではなく、顧客(この場合は母である私)のニーズを想定しながらものづくりするという点が、実際の仕事に近い体験になるのだなと感じました。
◆スパイスたっぷりでびっくり「ソーセージ職人」
日本ハムの「ソーセージ職人」では、ひき肉、塩、スパイスなどの材料をコネコネしてから、羊の腸に詰めてソーセージを作る体験をしました。
小4の娘はふだん食べているソーセージに羊の腸が使われているとはじめて知ってびっくり! 中1の息子も思った以上にスパイスをたくさん入れることに驚いていました。体験で作ったソーセージそのものは食べられないのですが、最後におみやげでいただいたソーセージはいつも以上においしく感じたそうです。
大きい子だからこそ職業を深く知れる
ここからは中1息子の声も交えながら、中学生のキッザニアの楽しみ方を具体的にご紹介します。
◆「ホースセンター」で乗馬体験
2025年の3月にオープンしたばかりの「ホースセンター」。こちらでは「獣医師(外科医/麻酔科医)」「アシスタントトレーナー」「乗馬体験」を体験できます。
親としては「獣医師として馬の開腹手術を行う」という貴重な体験を勧めたのですが……、中学生ともなると、親の思うとおりには誘導されません(笑)。
息子が選んだのは、シミュレーターによる本格的な「乗馬体験」でした。北海道や山梨で本物の馬にも乗ったことがあるのになぜ……と思いつつ(しつこい母)、ここは本人の意思に任せてみます。
「シミュレーターは乗馬のときの揺れが再現されていて臨場感があった。モニターが大きいから没入感があって面白かった!」
乗馬と比べてどうだったか聞いてみると、
「本物の馬はちゃんと指示できなくても空気を読んで歩いてくれるけれど、シミュレーターだと、ちゃんと指示が出せないと反応しない。こっちのほうがうまくなると思う」
なるほど! 実際の乗馬とはまた違ったシミュレーターならではの難しさと面白さを発見したようです。
「3つのコースの中で初回は一番簡単なコースしか乗れないから、また行く機会があったらもっと難しいコースに挑戦したい」そうです。
◆単なる重機操作ではない! 建設機械の開発・検証
たまたま時間が空き、予定外で行ってみた「建設機械開発センター」。ブルドーザーの足回り(シュー)と、土の種類の組み合わせを試し、どの種類の土にはどんなシューが適しているのかを検証します。
水気の少ない乾いた土地には、スタンダードタイプのシューだと早く効率的に地面をならせることがわかりました。
「はたらくくるま、運転した~い!」で終わらず、建設機械の開発・検証という複雑なプロセスをきちんと理解して体験できるのは、中学生ならではだと感じました。
息子は「検証結果を比較して分析するのが得意な人に向いている仕事だと思った」と話し、職業の適性についても考えるきっかけになったようです。自分には向いていない、という気づきもまた、キャリア観を形成する上では大事なステップですよね。
また「ブルドーザーみたいな重機を開発するには、こういう検証をする人もいるんだと初めて知った」とのこと。確かに、大人の私でも知りませんでした!
◆将来の夢がさらに一歩、具体的になった
建築家になるのが夢の息子。「いちばん楽しかった」と語るのが「家電コンシェルジュ」でした。ユーザーのペルソナや要望を設定し、想像力を働かせて家電を提案するアクティビティです。
中1息子が、実際に作成した提案シートを見せながら魅力を語ってくれました。
「やることは置く家電と色を選ぶだけなんだけど、家族構成を深く考えてみると、工夫できるところがたくさんあった! この家はお年寄りがいる設定だから、落ち着いたトーンにしたいと思って全体を考えた。リラックスできる雰囲気にしたくて、壁紙は白。明るい色のほうが広く見える効果もあるしね」
家電選びでどんな工夫をしたのか聞いてみると、
「加湿器を置くことで健康に配慮してみた。あとはロボット掃除機があると暮らしが楽になるかなって。音楽が好きだからオーディオは必須だね。あと家族は大人3人と子ども2人で人数が多いから、みんなで団らんする時間を作りたくてホームプラネタリウムを追加した」
と嬉しそうに語ってくれました。
これほど熱く語ってくれましたが、将来の夢が「家電コンシェルジュ」に変わったわけではありません。むしろ、自分の夢への思いがさらに深まったようです。
「今までは家を一から設計することしか考えていなかったけれど、今回の体験で、すでに完成している家も家電の組み合わせで変えることができることがわかった。建築士になったら、将来的に家族構成が変わったときに対応できる家を設計することもできるよね。例えば、子どもが独立したら壁をとれるようにしておけば、大きな家電を置いたり、模様替えしたりして、年を取っても夫婦だけで快適に暮らせる。いろんなやりかたがあることがわかったから、やってよかった!」
中学生になってもまだまだ世界は狭いもの。大人にとっては少しの経験だと思うようなことでも、さまざまな刺激を受けているのだと親のほうが気づかされました。
◆中学生が語る「キッザニア」と仕事観の変化
最後に息子にキッザニアのよさについて聞いてみました。
「キッザニア全体がひとつの街になってて、普段は見えない仕事が目の前にバーッ!って広げられてるのがいいよね。 普段の生活じゃ気づかないけど、どこかで絶対に誰かがやってくれてる仕事があるんだなって。例えばガス管の点検とかさ」
自分のやりたいアクティビティだけでなく、街全体を俯瞰(ふかん)して見られるようになったのは、中学生ならではの成長かもしれません。
小さい頃には目に入らなかった「裏方の仕事」や、それらが社会を支えている仕組みまで、深く実感できたようです。
「キッザニアにいると、ひとりの人生を見ることにもなると思った。 結婚式、病院、警察や消防、乗り物、食事、それから介護士みたいに。 人が生きていく上では、本当にいろんな人の仕事が関わってるんだなってわかったよ。 ……そのうち『葬儀屋さん』とかも出てくるのかなぁ」
最後はまさかの新しいパビリオンの提案でした。
こうして感想を聞いてみると、「自分の将来の夢としての仕事」から、「社会の一員としての自分の仕事」というふうに目線が変化していることがわかります。
キッザニアは、パートナー企業が直接提供しているプログラム。「本物」だから、中学生も十分に楽しめるのだと感じました。
息子もこんなふうに語っていました。
「どのパビリオンでも、最初にスタッフの人が仕事の全体像を説明してくれて、その中で『自分がどこを担当するのか』を教えてくれる。 だから、こんな仕事があるんだ! って知るだけじゃなくて、全部つながってるんだってわかった。 ほかの場所で動いてくれている人がいるから、僕のこの仕事も成り立つんだ、みたいな。なんか、自然と感謝したくなるよね」
きっと小さいころも同じ気持ちを感じていて、中学生になったからこそ言語化できた部分もあると思います。
ここまで深く感じ取ってくれたなら、今回のキッザニア訪問は「キャリア教育」として大成功だったと言えるのではないでしょうか。
中学生のキャリア教育にキッザニアはおすすめ!
年の離れたきょうだいをキッザニアに連れていくときなど、中学生をどうするか悩む親御さんもいると思います。
実際に連れていってみて確信したのは、中学生にとってのキッザニアは、単なる遊び場ではないということ。世の中の「職業」を深く知る視点で楽むことができ、キャリア教育の一環として連れていって本当によかったと感じる経験でした。
学校終わりの「第2部(16時~)」なら、授業を休まずに行けるのも大きな魅力です。実際この日は息子の幼稚園のときの同級生も何人か来ており、それぞれに楽しんでいる様子でした。「世の中にはいろいろな仕事があることがわかって、なんだか将来が広がる感じがする」という息子。キッザニアの対象年齢は15歳まで。あと3年ですが、まだまだ楽しめそうです。
※掲載情報は2025年9月訪問時のものとなります。
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北林 日菜
AnyMaMa(エニママ)ライター兼コクリコ・サポート・エディター 2012年生まれのサイエンス好き男子、2015年生まれアート好き女子の母。都内で広告営業や出版業を経て、結婚を機に茨城県に移住。以後リモートワークを中心に、エニママや県内のご縁ある企業でフリーランスライターとして活動中。 AnyMaMa:https://anymama.jp/ Twitter:https://twitter.com/AnyMaMaJP
AnyMaMa(エニママ)ライター兼コクリコ・サポート・エディター 2012年生まれのサイエンス好き男子、2015年生まれアート好き女子の母。都内で広告営業や出版業を経て、結婚を機に茨城県に移住。以後リモートワークを中心に、エニママや県内のご縁ある企業でフリーランスライターとして活動中。 AnyMaMa:https://anymama.jp/ Twitter:https://twitter.com/AnyMaMaJP