400人以上を見た不登校の専門家から親へ「勉強は間に合う! 大切なのは学校復帰より“雑談”」

シリーズ「不登校のキミとその親へ」#1‐4 不登校新聞代表理事・石井しこう氏~親の寄り添い方~

不登校新聞代表理事:石井 しこう

不登校新聞が行っている、不登校の親専用のオンラインコミュニティ「親コミュ」。同じ立場の親同士で悩みを話し、情報を得ることで、安心につながる。  写真提供:全国不登校新聞

配偶者との意見の違いをどう埋めるか

学校に行かないという子どもの選択を認めて、本人に合った道を見つけるサポートをしてあげたい。自分はそう思っても、配偶者と意見が合わないケースはよくあります。

ひと昔前は、母親は子どもに寄り添おうとしても、父親が「学校に行きたくないなんて甘えだ! 許さない!」と言いがちでしたが、最近は逆も増えています。

父親は「当たり前のレールに乗ることばかりが人生じゃないよ」と子どもの不登校を受け止めているのに、母親が「将来どうなるの!」と不安をふくらませて認めようとしないパターンですね。

たとえ意見が合わなくても、子どもの前で言い争うのは厳禁です。自分のことで親がケンカしたり、どちらかが責められたりしている光景を見たら、子どもはどんなに悲しいか。

相手の意見は簡単には変わらないかもしれないけど、とりあえずは「意見が一致するところ」から始めましょう。「子どもに幸せになってほしい」という点は、きっと一致するはず。そのために親として今何ができるかを話し合うことはできるのではないでしょうか。

不安をやわらげるには、先々の選択肢やロールモデルをたくさん知っておくことが大切です。フリースクールとはどういう場所で、どういう目的で運営されているのか。不登校の先輩たちが、どういう人生を送っているか。さっきの勉強のこともそうですね。

気をつけてほしいのは、親の不安に付け込む悪徳ビジネスに引っかからないこと。不登校の問題に関わっている人や団体のほとんどは、善良な動機で誠実に取り組んでいます。

しかし、高額な相談料を要求したり、「ウチにまかせてくれたら確実に学校に通わせます」を売りにしていたりするところは、信用しないほうがいい。金銭的な被害だけならまだしも、苦しんでいる我が子をさらに追い詰めることにしかなりません。

大丈夫です。お子さんが大人になったときに、不登校もいい経験だった、貴重な時期だったと言える日が必ず来ます。我が子を信じて、あたたかく長い目で見守ってあげてください。

構成/石原壮一郎

フリースクールとはどんな場所か、選ぶ基準等々、不登校経験者でもあり、数々の不登校児童やその家族を取材してきた不登校新聞代表理事・石井しこう氏が詳しく解説『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社)。
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いしいしこう

石井 しこう

Shikou Ishii
『不登校新聞』代表理事

『不登校新聞』代表理事。1982年東京都生まれ。中学2年生から不登校になりフリースクールに通う。19歳から日本で唯一の不登校の専門紙『不登校新聞』のスタッフとなり、2006~2022年に編集長を務める。2020年から代表理事に。これまで不登校当事者、親、有識者など400人以上を取材。不登校にまつわる著作やメディア出演も多数。 最新刊は『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社)。不登校の親同士が気軽に話せる親専用コミュニティ「親コミュ」を毎月開催。 【URL】 ●全国不登校新聞 ※不登校新聞の購読は紙版、Web版、note(Web)、Amazonで購入可能。 ●不登校の親専用のオンラインコミュニティ「親コミュ」

『不登校新聞』代表理事。1982年東京都生まれ。中学2年生から不登校になりフリースクールに通う。19歳から日本で唯一の不登校の専門紙『不登校新聞』のスタッフとなり、2006~2022年に編集長を務める。2020年から代表理事に。これまで不登校当事者、親、有識者など400人以上を取材。不登校にまつわる著作やメディア出演も多数。 最新刊は『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社)。不登校の親同士が気軽に話せる親専用コミュニティ「親コミュ」を毎月開催。 【URL】 ●全国不登校新聞 ※不登校新聞の購読は紙版、Web版、note(Web)、Amazonで購入可能。 ●不登校の親専用のオンラインコミュニティ「親コミュ」

いしはら そういちろう

石原 壮一郎

コラムニスト

コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか

コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか