「全員をえこひいきする」とは?
──星槎中学校は、不登校特例校として私立校で最も早く、2005年に指定を受けていますが、まずそのあたりからお聞かせください。
佐藤由加子副校長(以下、佐藤先生):もともと星槎グループは、既存の学校になじめなかった2人の生徒に向き合う学びの場から始まりました。私は、星槎中学校の前身である民間のフリースクール時代からかかわっており、もう30年近くになります。その後、2005年に不登校特例校として星槎中学校が開校し、2023年に「学びの多様化学校」へと名称が変わりました。
星槎グループ全体では、「人を認める」「人を排除しない」「仲間を作る」という3つの約束を掲げており、その精神をさらに体現した言葉が、創設者・宮澤保夫名誉会長の「一人ひとりにえこひいき」です。
佐藤先生:えこひいきというと、あまり良い意味には聞こえませんよね。私もそうでした。しかし、誰かを特別扱いするのではなく、全員に目をかけて、一人ひとりを大切にすればいいのだと教えてもらい、「なるほど、そうした向き合い方があるのか」と知ったのです。
まずは、「この子はどんな子なのか」を知ること。なかには悩みや困りごとがあっても「大丈夫です」と言ってしまう子もいます。それでも、実際には何かあるんじゃないか、と。小さなサインも見逃したくない。それは、一人ひとりに寄り添っていなければできないことだと思っています。
1対1の関わりが25通りあるホームルームの工夫
──それを実践するには、子どもたちを丁寧に見る体制が必要ですね。
佐藤先生:そうですね。星槎中学校のホームルームは1クラス25名前後です。クラスには担任と副担任がいて、担任が前で話しているときには、教室の後ろに必ず副担任がいます。後ろから子どもたちの様子を見て、必要に応じて声をかけられるようにしています。
基本的には毎日登校している生徒が多いですが、毎日来ることがすべてだとは思っていません。週1回で精いっぱいの子、午後からなら来られる子、オンラインで授業を受ける子もいます。
佐藤先生:学校に足が向かわない理由も一人ひとり違います。たとえば、前日に友だちとけんかをして、翌日顔を合わせるのがつらいという子もいます。
そういうとき、1日休んで調整をしたほうがいい子もいれば、1日休むと行きづらくなってしまう子もいる。だから、「午後からおいでよ」「放課後だけでもおいでよ」と声をかけることもあります。
保護者の方から「今日は17時からなら行けそうです」と連絡があれば、その情報を教員同士で共有し、担任やその子が会えそうな先生が対応します。時間があればワークシートを一緒に解くこともあります。「学校に来て、先生と話せた」。これだけでもその子にとっては、大きな一歩ですから。


































