名医が脳科学でズバリ解決!左利きの子どもの潜在能力の伸ばし方と苦手克服法

脳内科医・加藤俊徳先生に聞く「左利き」の子どもの育て方#2 左利きの子どもの脳の伸ばし方

脳内科医:加藤 俊徳

左利きにとって野球、卓球、格闘技は有利!

――子どもの習い事を選ぶ際に、利き手を意識したほうがいいのでしょうか。左利きの子どもにおすすめの習い事はありますか。

加藤先生:ピアノや笛などは両方の手を使うため、左利き・右利きに関わらず、脳科学的に見ておすすめです。

スポーツだと、例えば野球。左利きの投手は、右利きのバッターが打ちにくいところに投げ込むことができます。バッターは左打席に立つと一塁が近いので有利になります。実際、プロ野球選手には左利きが多くいるんですよ。

サウスポーの投手はバッターにとっては闘いづらい相手に。  写真:アフロ

卓球も、少数派な左利きが有利なスポーツ。サーブの回転が逆になるため、返しにくいのです。

最も影響が大きいのは、武道や格闘技。左側から攻め込まれると疲労が大きく集中力を失いやすくなるため、左利きの選手のほうが勝率は高いんですよ。

左利きには生活時間の“見える化”が効果的

――普段の生活で、左利きの子どもが特に気を付けておいたほうがいいことはありますか。

加藤先生:左利きのお子さんには、生活の時間を“見える化”してあげてください。

というのも、右脳が働く左利きは大雑把で優柔不断になりやすい。ですので、一緒にカレンダーに予定を書き込み、毎朝「今日はこれをやるんだよ」と、先の見通しをつけてあげると、子どもにとって、とても理解しやすくなります。

見える化だけなく、脳に時間感覚を刷り込むことも、左利きの子どもには有効です。

人間の脳には、朝日がのぼって夕日が沈むという、1日の時間の流れが大きく影響しています。1日の流れから時間軸ができて、その時間軸によって行動にスイッチが入ります。

単純なことですが、お子さんと一緒に一日の始まりの朝日と、終わりとなる夕日を見ることで一日の流れが意識でき、時間の感覚が脳に刷り込まれていきます。

時間の表示自体は人間が作ったものですが、外に出て、自然の中での時間の流れを身体に染み付かせることで、脳が直感的に反応できるようになり、人間としての強さにもつながっていきます。

一日部屋の中にいると、外の自然の様子を知ることはできません。

お子さんと一緒に、太陽や雲の動きなどを一緒に見て、幼少期の脳を成長させてあげてください。

――◆――◆――

朝日と夕日を眺めることなら、無理せず幼いお子さんとも一緒にできそうです。

第3回では、行動によって利き手を変える「クロスドミナンス」について。普段は左利きだけど、ハサミだけ右利きなど、行動によって利き手を変えることができる人がいますが、脳のなかでは何が起きているのでしょうか? 加藤先生に引き続き解説していただきます。

取材・文/石本真樹

1回目 利き手が決まるのはいつ頃? 脳科学的に見る左利きの子どもの育て方とは? 
3回目 行動で利き手を使い分ける「クロスドミナンス」を脳内科医がすすめる理由とは?

加藤 俊徳(かとう・としのり)
左利きの脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社脳の学校代表。昭和大学客員教授。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家。

『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き 「選ばれた才能」を120%活かす方法』
ダイヤモンド社/1300円(税別)

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かとう としのり

加藤 俊徳

脳内科医

左利きの脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社脳の学校代表。昭和大学客員教授。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家。 1991年に現在では世界700ヵ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。 1995年~2001年まで、米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病や、MRI脳画像の研究に従事。ADHD(注意欠陥多動性障害)、コミュニケーション障害など、発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。 帰国後は、「加藤式MRI脳画像診断法」を用いて、1万人以上の脳を診断、治療を行っている。 加藤プラチナクリニック https://www.nobanchi.com/ 主な著書 『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き 「選ばれた才能」を120%活かす方法』/ダイヤモンド社

左利きの脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社脳の学校代表。昭和大学客員教授。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家。 1991年に現在では世界700ヵ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。 1995年~2001年まで、米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病や、MRI脳画像の研究に従事。ADHD(注意欠陥多動性障害)、コミュニケーション障害など、発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。 帰国後は、「加藤式MRI脳画像診断法」を用いて、1万人以上の脳を診断、治療を行っている。 加藤プラチナクリニック https://www.nobanchi.com/ 主な著書 『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き 「選ばれた才能」を120%活かす方法』/ダイヤモンド社