
“ピンク大好き”な子どもに戸惑い…育児とジェンダーの悩み「みんなちがって、みんなどうでもいい」と保育の専門家が語るワケ
天野諭さんに聞くジェンダーと子育て【後編】
2026.04.02
「性別にとらわれず自由に育ってほしい」と思っていたのに、娘がピンク大好きでヒラヒラのドレスを着たがるようになった。逆に、「男の子らしく」と期待していたのに、内気で引っ込み思案な息子に戸惑う……。
子育て中、「これでいいの?」と思える場面に出くわしたとき、親はどのように向き合えばいいのでしょうか。
親が育ってほしい方向へ導いても、子どもの好みが思いがけない方向に広がることもあります。この記事では、ジェンダー問題にくわしい研究者で保育士の天野諭(あまの・さとる)さんに、周囲との関わり方や、子どものありのままを受け止めるコツを伺いました。
(※ジェンダー:社会的・文化的な男女の性区別のこと)
(※ジェンダーフリー:女らしさ/男らしさなど、ジェンダーに基づく固定的な役割分担や観念・偏見をなくすこと)
娘が“ピンク大好き”になってしまったら
性別にとらわれずに育てたいと思っていたのに、気づけばわが子が、いわゆる「男の子らしさ」「女の子らしさ」に近づいていく。その姿に戸惑う親も少なくありません。
「ジェンダーフリーを意識して子育てしているつもりでも、“女の子らしさ”“男の子らしさ”を好んだり、そうした振る舞いをするようになったりと、親の期待通りにはいかないことも……。持ち物や洋服はピンクばかり選ぶようになるなど、いわゆる“女の子あるある”ですね」
「堀越英美さん(2019)、中野円佳さん(2024)は、著書の中で、ジェンダーフリーを意識して子育てしていたとしても、娘がピンクやフリル、プリンセスに熱狂していく様子を“ピンク星人”と表現しています」
こう話すのは、研究者の天野諭さん。保育士として現場で子どもたちに向き合い、現在は、子どものジェンダーをテーマに研究を行っています。
「子どもは親子だけの世界で生きているわけではありません。保育園や幼稚園、小学校などで友だちと関わるうちに、“女の子はこうあるべき”“男の子はこうあるべき”といった価値観にも触れていきます。子どもの好みや振る舞いは、家庭だけで形づくられるわけではなく、さまざまな社会的関係性の中で育まれていくものだと思います」(天野さん)
性別に縛られない育児を目指しても、ステレオタイプに近づくわが子の姿に戸惑い、「こんな育て方でいいのだろうか」と悩むこともあるでしょう。
「そんなときは、例えば“女の子はピンク”という考えを否定すること自体が、“新たな正しさ”になっていないか、一度立ち止まって考えてみてはどうでしょう」
「また、子ども自身が選んだ結果として、女の子が“女の子らしく”、男の子が“男の子らしく”育つこと自体が否定されるものではありません。もし、わが子がステレオタイプに近い好みを示したとしても、それも個人の自由な選択です。親も一緒に楽しめばいいのではないでしょうか」(天野さん)































