
妻の闘病と死 ワンオペ育児と仕事家事…4男児を抱えるシングルファザー前田顕蔵が実践する「頼る勇気」と「子どもとの関わり方」
4男児のシングルファザー・前田顕蔵さんインタビュー #3「子育てとコーチングの共通点」 (3/4) 1ページ目に戻る
2026.04.10
プロコーチ:前田 顕蔵
聞きすぎず“話す場所とタイミング”を大切に
長年、プロバスケの指導者としてチームを率いてきた顕蔵さんは、子育てとコーチングには共通点が多いと話します。
「人は『やらされている』だけでは、成長しないですね。本人が楽しくないですから。自分で考えてやってみて、失敗して、また考える。その過程で、サポートしたり見守ったりすることが大事だと考えています」(顕蔵さん)
そんな顕蔵さんが、子どもとの関わり方で意識していることの一つが、「聞きすぎない」ことです。小学校に入学したばかりのころは、心配すぎて、帰宅した子どもに質問を重ねてしまっていたといいます。
「今日はどうだった?」「友達できた?」「先生に怒られなかった?」
ところが、子どもはほとんど答えてくれません。コーチングと同じで、「聞きすぎると、相手は何を話していいか分からなくなる」。そう気づいた顕蔵さんは、質問をやめました。すると、子どものほうから話してくれるようになったといいます。
「話してくれたときは、過剰に反応せず、『どうした?』と自然に聞くようにしています。ただ、聞かないことで、本人が困る場合もある。学校に行きたくない様子があるときには、『どうして行きたくないの?』と、あえて直接的に聞くようにしています」(顕蔵さん)
大事なのは、「あなたのことを大切に思っているよ」という気持ちが伝わるかどうか──。
「聞かない=気にしていない、ではありません。どう関わるか、子どもがどんなサインを出しているかを大事にしています」(顕蔵さん)
もう一つ大切にしているのが、話す「タイミング」と「場所」です。
例えば、登校を渋るような様子があっても、朝の出発直前に聞くことはしません。お風呂の時間や二人きりで過ごせる時間など、子どもがリラックスしている場面で話すようにしています。
「信頼関係を作る過程として、タイミングと場所はすごく大事だと思っています」(顕蔵さん)
ある日、三男を学童へ迎えに行った帰り道、突然こんな言葉を口にしたことがありました。
「父ちゃんも、いつか死ぬ日がくる」
顕蔵さんは驚きましたが、その場で深くは聞かず、そのまま二人でパンケーキを食べに行きました。リラックスした時間の中で、改めて、どうしてそう思ったのか聞いてみると、三男は「学校でそう思ったの」と話し始めました。
「父ちゃんはね、あなたが大好きな人と結婚して、子どもができても、まだまだ元気でいるから。心配しないでな。大丈夫やで」と顕蔵さんは三男が安心できるよう優しく伝えます。
子育てをしていると、どうしても時間に追われがちです。このときも四男の迎えが控えていましたが、顕蔵さんは一度足を止め、三男と向き合う時間を大切なタイミングとして選びました。そんな小さな選択の積み重ねが、親子の信頼関係をつくっていくのかもしれません。
「いっぱい愛してくれてありがとう」子どもたちからの手紙
上を向いて、前を向いて進んでいく。そんな姿勢で日々を重ねてきた顕蔵さんですが、もちろん、しんどいと感じるときも少なくありません。4人の子どもとの生活、仕事との両立、ヘッドコーチ退任──いくつものピンチがありました。
しんどいときは、無理にでも時間を作って裁縫など新しいことをやってみたり、自然の中を歩いたり、知らない店に行ってみたり。シチュエーションを変え、何かに没頭したり気をそらしたりすることで、気持ちを落ち着かせる時間をつくっています。
自分の状態や感情から目を背けないこと。そして、自分自身を大切にすること。月に一度心理カウンセリングを受けているのも、その一つです。
「自分がハッピーでいないと、それは必ず子どもに影響すると思っています。だからこそ、優先順位の一番を自分に持ってくるくらいで、ちょうどいいのかな」(顕蔵さん)
そんな思いが、思いがけない形で返ってきた出来事がありました。






























