子どもの友だち関係が「スマホやSNS」で見えなくなる! スマホで増える「親の不安」と「子どもが困っていること」こんなに違う〔精神科医〕が解説

精神科医さわ先生に聞く、「ちょうどいい親子の距離感」 #2

精神科医 さわ

「親の心配」と「子どもの悩み」を切り分ける

それでも子どもの交友関係が見えないと、親が不安に感じるときはあると思います。

そんなときは、「どこまでが親自身の不安で、どこからが本当に子どもが困っていることなのか」という境界線を意識してみてください。

実際、クリニックに来られる保護者の中には、お話を聞くと、子ども自身はまったく困っていなかったというケースも少なくありません。

例えば、「仲間外れにされているかも」「このまま学校に行けなくなったらどうしよう」と、親が先回りして不安をふくらませてしまっていることもあれば、逆に親が「大丈夫」と思っていたことが、子どもにとって深刻な悩みだったというケースも。

写真:Trickster/イメージマート
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特に、スマホやSNSの世界は、親世代が思春期に経験してこなかった日常です。スマホ時代だからこそ、「見えない不安」とどう向き合うかは、現代の親にとって大きな課題のひとつ。

だからこそ、「自分がこういうことで傷ついたから、子どもも同じに違いない」「自分が悩んだから、きっと子どもも悩んでいるはず」と決めつけず、親の不安と子どもの気持ちを切り分けて考えることが大切です。

───◆─────◆───

今回の取材を通じて、知らないうちに「自分と子どもを同じように見ていたのでは」と気づかされました。

見えない不安は確かにあります。でも、だからこそ、もっと安心して子育てをするにはどうすればいいのか。さわ先生は、「子どもの自立を信じること」にあると話します。

次回3回目では、自立できる子を育てるために、親ができることについて教えてもらいます。

取材・文/山田優子


精神科医さわ先生の連載は全3回。
1回目 〈学校の行き渋り〉を読む
3回目 〈子どもの自立〉を読む
※3回目は公開時よりリンク有効

『児童精神科医が子どもに関わるすべての人に伝えたい「発達ユニークな子」が思っていること』著:精神科医さわ(日本実業出版社)
『児童精神科医が子どもに関わるすべての人に伝えたい「発達ユニークな子」が思っていること』著:精神科医さわ(日本実業出版社)

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せいしんかい さわ

精神科医 さわ

Seishinkai Sawa

塩釜口こころクリニック(名古屋市)院長。精神保健指定医、精神科専門医、公認心理師。 1984年三重県生まれ。開業医の父と薬剤師の母のもとに育ち、南山中学校・高等学校女子部、藤田医科大学医学部卒業。勤務医時代はアルコール依存症など多くの患者と向き合う。 発達ユニークな娘2人をシングルで育てる母でもあり、長女の不登校と発達障害の診断をきっかけに、「同じような悩みをもつ親子の支えになりたい」と2021年に塩釜口こころクリニックを開業。開業直後から予約が殺到し、現在も月に約400人の親子を診察。これまで延べ5万人以上の診療に携わる。 患者やその保護者からは「同じ母親としての言葉に救われた」「子育てに希望が持てた」「先生に会うと安心する」といった声が多く寄せられ、「生きる勇気をもらえた」と涙を流す患者さんも多い。 主な著書に『児童精神科医が「子育てが不安なお母さん」に伝えたい 子どもが本当に思っていること』、2025年8月22日発売予定『児童精神科医が子どもに関わるすべての人に伝えたい「発達ユニークな子」が思っていること』 (共に日本実業出版社) YouTube「精神科医さわの幸せの処方箋」(登録者10万人超)や、Voicyでの毎朝の音声配信も好評で、「子育てや生きるのがラクになった」と幅広い層に支持されている。 塩釜口こころクリニック https://shiogamakokoro.com/ 精神科医さわHP  https://dr-sawa.net/

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塩釜口こころクリニック(名古屋市)院長。精神保健指定医、精神科専門医、公認心理師。 1984年三重県生まれ。開業医の父と薬剤師の母のもとに育ち、南山中学校・高等学校女子部、藤田医科大学医学部卒業。勤務医時代はアルコール依存症など多くの患者と向き合う。 発達ユニークな娘2人をシングルで育てる母でもあり、長女の不登校と発達障害の診断をきっかけに、「同じような悩みをもつ親子の支えになりたい」と2021年に塩釜口こころクリニックを開業。開業直後から予約が殺到し、現在も月に約400人の親子を診察。これまで延べ5万人以上の診療に携わる。 患者やその保護者からは「同じ母親としての言葉に救われた」「子育てに希望が持てた」「先生に会うと安心する」といった声が多く寄せられ、「生きる勇気をもらえた」と涙を流す患者さんも多い。 主な著書に『児童精神科医が「子育てが不安なお母さん」に伝えたい 子どもが本当に思っていること』、2025年8月22日発売予定『児童精神科医が子どもに関わるすべての人に伝えたい「発達ユニークな子」が思っていること』 (共に日本実業出版社) YouTube「精神科医さわの幸せの処方箋」(登録者10万人超)や、Voicyでの毎朝の音声配信も好評で、「子育てや生きるのがラクになった」と幅広い層に支持されている。 塩釜口こころクリニック https://shiogamakokoro.com/ 精神科医さわHP  https://dr-sawa.net/

やまだ ゆうこ

山田 優子

Yamada Yuko
ライター

フリーライター。神奈川出身。1980年生まれ。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、拠点を大阪に移し、さまざまな業界を経て、2018年にフリーランスへ転向。 現在は、ビジネス系の取材記事制作を中心に活動中。1児の母。

フリーライター。神奈川出身。1980年生まれ。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、拠点を大阪に移し、さまざまな業界を経て、2018年にフリーランスへ転向。 現在は、ビジネス系の取材記事制作を中心に活動中。1児の母。