SNSにはない「対面」の良さ
手軽に多くの情報を得られるため、今やなくてはならない存在ともいえるSNS。
「#離乳食」「#2歳児」などと検索し、同じ境遇のママパパと知り合ったり情報交換をしたりと「SNSの繫がりを支えにしている人も多い」と子育て支援のNPO法人「わこう子育てネットワーク」でオーガナイザーをしている森田圭子(もりた・けいこ)さんは話します。
「SNSで『夜泣きが大変』など苦労を共有していた人が、次第に『ハイハイができた』『歩いた』といった投稿をするようになり、『うちはまだ……』と落ち込んでしまったというママがいました。複雑な思いがストレスとなり、健診の際に保健師からホームスタートを紹介されたんです。
訪問時に赤ちゃんはズリバイをしていたのですが、ママは足を立てる練習をさせたほうがいいのかと悩んでいました。ホームビジターが『大丈夫! これでいいんだよ』と伝えると、『これでいいんですか!?』って。
それから一緒に公園で遊んだり、話をしていくうちにママの表情も晴れていき赤ちゃんもよりニコニコと笑うように。SNSだけじゃなく、対面で話すことの大切さに気づいたとおっしゃっていました」(森田さん)
そのほか、夏休みや土日に仕事で不在のパパに代わって一緒に公園に行ったり、乳児のいる家庭だと沐浴を一緒にしたり。
「離乳食を一緒に作りたい」というパパからの依頼や、仕事から帰宅後の黄昏泣きの時間帯に一緒にいてほしいなど、共働きが増えている今ならではのニーズも増えてきているといいます。
子育ての状況が深刻化すると声をあげにくくなってしまうこともあるので、「ちょっとしんどいな」と思った時点で、気軽にホームスタートを利用してみるのがいいのかもしれません。
次回は、子育て事情をも大きく変えたコロナ禍について。ママパパに見られる変化と必要なサポートについて伺います。
●子育てアドバイザー・高祖常子さんから
今、SNSを利用しているママパパは非常に多いです。何か困りごとや不安がある中で、SNSの“キラキラしたママ”ばかり見ていると、「みんな子育てを楽しんでいるけど、私はずっと子どもを抱っこしていて家も散らかりっぱなし……」などと落ち込んでしまいます。
あおり記事も多いですから、惑わされず、「こういうやり方もあるのね」程度にとらえてみましょう。
SNSやオンラインもいいですが、ホームスタートが大切にしている「対面」にはメリットがたくさんあります。話しているときの微妙な表情や声のニュアンスをくみ取りやすく、相談側も「受け取ってもらえている」という安心感を得やすい。
さらにホームビジターが自宅に入ることで、ママや家の様子が分かりやすく、より適切な支援につながります。例えば「今日も大変だった」という話を、散らかった家の中で聞くのと、オンラインでママの顔だけを見て聞くのではキャッチの仕方が違いますね。
子どもにとっても、いろいろな人に抱っこされたり話しかけてもらう経験はとても大切。社会性を育てることにもつながります。
高祖常子PROFILE
子育てアドバイザー・キャリアコンサルタント。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。国や行政の子どもに関連する委員を歴任し、子育てと働き方などを中心とした編集・執筆ほか、全国で講演を行う。第9回渡邉辰五郎奨励賞受賞。
取材協力/
・ホームスタート
乳幼児がいる家庭に、研修を受けた地域の子育て経験者が、定期的に無償で訪問し、傾聴(親の気持ちを受け止めて話を聴くこと)と、協働(親と一緒に家事や育児、外出などをすること)をする家庭訪問型子育て支援ボランティアのしくみ。イギリスで1973年に始まり、世界22ヵ国、日本でも31都道府県117地域にひろがっている。
関連サイト/
ホームスタートオフィシャルHP
取材・文/稲葉美映子
稲葉 美映子
フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。
フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。
高祖 常子
リクルートで学校・企業情報誌の編集にたずさわったのち、2005年に育児情報誌miku編集長に就任し14年間活躍。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。 認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事ほか各NPOの理事を務める。「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」(厚生労働省2019年度)でガイドライン策定委員ほか、国や行政の委員を歴任。子育てと働き方などを中心とした編集・執筆ほか、全国で講演を行っている。 保育士、幼稚園教諭2種、心理学検定1級など子育てに関連する資格を多数取得。 東京家政大学短期大学部保育科卒、第9回渡邉辰五郎奨励賞受賞。 著書は『イラストでよくわかる 感情的にならない子育て』(かんき出版)、『こんなときどうしたらいいの? 感情的にならない子育て』(かんき出版)、『男の子に厳しいしつけは必要ありません』(KADOKAWA)ほか。 3児の母。 ●高卒常子オフィシャルサイト ●Twitter @tokikok
リクルートで学校・企業情報誌の編集にたずさわったのち、2005年に育児情報誌miku編集長に就任し14年間活躍。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。 認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事ほか各NPOの理事を務める。「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」(厚生労働省2019年度)でガイドライン策定委員ほか、国や行政の委員を歴任。子育てと働き方などを中心とした編集・執筆ほか、全国で講演を行っている。 保育士、幼稚園教諭2種、心理学検定1級など子育てに関連する資格を多数取得。 東京家政大学短期大学部保育科卒、第9回渡邉辰五郎奨励賞受賞。 著書は『イラストでよくわかる 感情的にならない子育て』(かんき出版)、『こんなときどうしたらいいの? 感情的にならない子育て』(かんき出版)、『男の子に厳しいしつけは必要ありません』(KADOKAWA)ほか。 3児の母。 ●高卒常子オフィシャルサイト ●Twitter @tokikok