子どものならいごとは万国共通の関心事。世界各地で暮らす日本人親子のみなさんに現地のならいごとについて聞いてみました。第2回はフランスの首都・パリで暮らすダヴィエ佐知子さんご一家です。
パリは人口約220万人(2020年)。ダヴィエ一家がお住まいの14区は、サルトルやマン・レイなど著名人が埋葬されているモンパルナス墓地でも有名なセーヌ左岸、パリの南部に位置する閑静な住宅地です。モンスリ公園という大きな公園や、世界各国からの留学生が生活する学生街もあり、パリのなかでも治安がよいエリア。在仏20年のママ・佐知子さんとフランス人のパパ・ロランさんの間に誕生した、パリ生まれの直人くんはどんなならいごとをしているのでしょうか。
●Mama&Kids Data●
ママ:ダヴィエ佐知子さん
【お仕事】フランス語コーチ
長男:直人(なおと)くん(7歳)
【ならいごと歴】:プレイグループ →リトミック→ソルフェージュ→ピアノ→日本語講座(継続中)
※プレイグループは未就園児対象のサークルで様々なアクティビティを行うこと。リトミックは音楽に触れながら子どもの基礎的能力を伸ばすならいごと。ソルフェージュは演奏されたメロディーや音を聴き取り、楽譜に正しく書くこと。
驚愕! 親子ヨガの床に粘土が落ちていた
佐知子さんは初めてのならいごとの時に衝撃的なできごとがあったと言います。
「最初のならいごとは、息子がまだ1歳にも満たない、ハイハイをしていた頃。街中のキッズカフェに併設されたワークショップスペースでの親子で参加するベビーヨガでした。フランスでは出産後に、骨盤底筋のリハビリを受けることができ、さらに保険でカバーされるため実質無料なんです。このリハビリに通っていたのですが、終わってからもなにか続けたくて探していたところ、ベビーヨガのコースを発見。参加することにしました。
その日は年齢が少し上の別グループと同じスペースだったためか、なんとその場に粘土が落ちたまま放置されていたんです! その頃はまだ息子が通して眠らなかったので、私も常に眠い状態……。あまりいろいろなことに意識がまわっていないときだったし、まさか床に粘土が落ちているなんて思いもしなかったので、息子が粘土を口に入れたことにもしばらく気付きませんでした。他のコース参加者のママさんに、『何か口に入れているわよ!』と注意を促され、そこで初めて気がつきました。
あまりの怖さに、このときから『フランスではボーッとしていられないな』と思うようになりました。フランスはこんな感じでちょっとゆるいところがいくつもあるので注意が必要です。日本のように、行政が予防接種の時期にお知らせを郵送してくれることもなく、いろいろ自分から動いて手続きをしないといけません。待っているだけでは何も始まらないといったことがフランスでは多々あります」
パリらしさを感じるリトミック教室
音楽系のならいごとでは、「さすがパリ!」と思うこともあったという佐知子さん。
「息子が2歳のときに8ヵ月ほど通ったリトミックの教室です。パリ管弦楽団の新たな本拠地となった、フィルハーモニー・ド・パリでリトミックの授業があるのを街に貼ってあったポスターで偶然知ったのがきっかけでした。
ホール併設のスペースで教室が開かれたのですが、そこにはブラジルやタイなど国際色豊かな参加者が来ていました。ちなみにパリは人口の14%(2017年)が外国人で占められており、いろいろなルーツを持つ人が住んでいます。
内容は歌ったり、踊ったり、珍しい大きな太鼓にも触れられたりと、楽しい雰囲気の中で音楽が親しめました。そしてなによりパリ管弦楽団の本拠地に併設されたスペースというロケーションも最高でしたね。親子揃って楽しんだ記憶があります。
以来、プレイグループやリトミック、ソルフェージュやピアノなど音楽系のならいごとをいろいろさせてみたのですが、結局、息子は音楽にそれほど興味を持つことはありませんでした」