子どもの探究心を刺激する6大科学館 実験の専門家が全国から厳選!
親もそのおもしろさにうなる全国の科学館 楽しく理科の力をつける方法 #3
2023.03.23
理科の力を育む場所は水族館や100円ショップにも隠れている!
理科への興味を育むには科学館が真っ先に思い浮かびますが、それだけではないと滝川先生は話します。
「水族館や動物園、植物園も理科の興味を育んでくれる施設です。これまでの話でもお分かりになるかと思いますが(#1、#2を読む)、理科の分野はとても広く、生物や地学、物理だけがその分野だけでなく文明や文化、医学もそのひとつです。
それを考えると私たちの生活の周りにはたくさんの理科があふれています。自分の体もそうですし、住んでいる家も車も飼っているペットも、近所の河原、道端の草や木、飛び回っている昆虫も理科につながります。
ですから、親子で近所に買い物に出かけたなら、今日は一番背の高い木を見つけながら歩いてみようとか、今の時期に咲いている花を探してみようとか、一番小さな花を見つけてみようとか、周囲に意識を向けて歩いてみて子どもの興味を深めてあげてほしいのです」(滝川先生)
興味を深める、あるいは広げるという意味では100円ショップもおすすめです。
「僕はよく100円ショップの製品で実験を作っているのですが、そのくらい100円ショップには実験の材料になる品物がたくさん売っています。
また、夏休み前になると自由研究のセットや、実験に使える製品を1ヵ所にまとめて売っていたりもしますし、科学を意識した実験のフリーペーパーを置いていたりもします。周りを見渡すと、本当に理科は身近にたくさんあるんです」(滝川先生)
何かを探して歩く「みつけっこ」は、意外と子どものほうが早く発見したり、意外なことに気づいたりして得意なことがあります。
施設を利用するのも手ですが、こういった何気ない日常も理科の力を育むきっかけになります。
子どもが何かに意欲を見せたり楽しい気持ちを持ったりしたとき、親がその心の動きに寄り添ってあげられたなら、子どもの興味はさらに広がって、理科の力のベースとなる探究心が育っていくのでしょう。
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滝川 洋二(たきかわ ようじ)
教育学博士。NPO法人ガリレオ工房理事長。NPO法人理科カリキュラムを考える会理事長。東京大学非常勤講師。元東海大学教育開発研究所所長。元東京大学特任教授。元国際基督教大学高等学校教諭。ケンブリッジ大学にて理科教育研究を行った経験も持つ。「科学の楽しさをすべての人に」伝えるためにさまざまな取り組みと理科教育の改善に尽力しており、その功績が讃えられて2005年文部科学大臣表彰科学技術賞受賞。テレビドラマ『ガリレオ』や映画ガリレオ『沈黙のパレード』の実験の監修者でもある。
【主な共著や監修書】
「どうすれば『理科』を救えるのか──イギリス父子留学で気がついたこと」(亜紀書房)
「発展コラム式 中学理科の教科書 改訂版 物理・化学編 」「同 生物・地球・宇宙編」(講談社 ブルーバックス)
「小学館の図鑑NEO 科学の実験~あそび・工作・手品~」(小学館) など多数
取材・文/梶原知恵
梶原 知恵
大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。
大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。