厚切りジェイソン氏　子どもとお金「本当にほしいものかを判断させる」教育とは？　

──お子さんたちが「どうしても欲しい！」と駄々をこねることはないのでしょうか？

ジェイソンさん：ないね。だって、僕が買わないから（笑）。よく街を歩いていると子どもがジュースとかおもちゃが欲しくて駄々をこねている姿を見るけれど、それはきっと「駄々をこねたら買ってもらえた」という過去の経験があるからだと思う。

日本のお母さんたちは周りの目が気になって大騒ぎし始めたら買い与えることがあるでしょ。それは逆効果だと思っていて、大切なのは「子どもにどう成長してほしいか」じゃないかな。それはお金のことだけでなく、子どもの教育としても大切なことだと思っている。

ジェイソンさん：僕は娘が３人いて、家族でよくスーパーに行くんだ。ある時、ほかのスーパーよりソーダを安く売っていたから大量に買ったんだよね。頻繁に飲むものだから、安い時に大量に購入した方がお得でしょ。

でも、あまりに大量にソーダを買ったから、ワゴンの耐荷重を超えていたみたいで壊れたんだよ！　ワゴンを壊してしまったのは本当に申し訳なかったけれど、僕は大量に買うことも子どもにはいい経験になると思っている。

小さな彼女たちから見れば山積みのソーダはインパクトがあるだろうし、その思い出と共に、なぜお父さんが一度に大量に買うのかという理由も記憶に残るはずだから。

ちなみにうちは買いものをしながら「箱買いしたら１本買うより安くなって、さらに３割引きのクーポンもあるからもっと安くなる。じゃあ箱買いをしたソーダの１本の値段はいくらになるかな？」というように、具体的に数字の説明をしながら買い物をしているんだ。

忙しい中で買い物をするのは大変だと思うけれど、駄々をこねる予防として無駄にお菓子を買い与えるより、こういう会話をしてみるのもいいかもしれないね。

──日常にもたくさん金融リテラシーを子どもたちが学べる機会があるんですね。ちなみにアメリカでは学校でお金について教えてくれる授業などはあるのでしょうか？

ジェイソンさん：学校で教えてくれることはないよ。僕はラッキーなことに両親がお金について話をしてくれたので、節約方法やお金を増やすこと、お金の大切さについての知識を持つことができたんだ。

日本は今年から高校の家庭科でお金について学ぶよね。これはとてもいいことだと思う。特に、成年年齢が18歳になって、クレジットカードや携帯などの契約も保護者の許可なしでできるようになったよね。

クレジットカードのリボ払いとかの仕組みがわかっていないと大変なことになるし、困ったときに消費者金融とかに気軽に行ってしまう可能性もある。

アメリカはカード社会だけれど、実はその使い方が健全じゃない人がとても多いんだ。クレジットカードの限度額まで使用して、足りなくなったらさらに別のカードで限度額まで使う、みたいなことをしている人がたくさんいる。

日本はクレジットカードの支払いは一括が多い印象だけれど、アメリカはミニマム・ペイメントとして例えば100ドルだけ払う設定にしておけば、仮に1000ドル使ってもその月には100ドルだけ払えばいい。

残りの900ドルは翌月に回されて、翌月の使用料と合算されて請求が来る。でもまた100ドルだけ払えばいいから、結局それらが積み重なって、ものすごい高い利息がついて恐ろしい額の借金を抱えることになる。

これが今、アメリカで社会問題になっているのだけれど、日本もこうなる可能性はある。だからこそ親がお金について子どもに小さいうちから伝えることが大切だと思うよ。

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価値があると思うものにお金を使うという意識や、お金にまつわる知識を持つことは、自分も家族も守ることになることがわかりました。特に、子どもが社会に出てから困ることのないように、小さいうちから金融リテラシーを高めることが必要ですね。

最終回となる３回目は、ジェイソンさんがご自身のお子さんに実践するお金の教育について詳しく聞いていきます。

取材・文／知野美紀子

厚切りジェイソンさんの投資連載は全３回。
１回目　厚切りジェイソン氏の分かりやすい解説　「投資を始めるタイミングは今」の理由
３回目　厚切ジェイソンさんは３人の娘のお小遣いに年利10％？　子どもにも投資を伝授