
「怒りっぽい・転びやすい」5歳児が変わった! 子どもの情緒と運動・姿勢の深いつながりとは?[専門家が監修]
理学療法士・池上悠さんインタビュー#2「情緒と“姿勢のクセ”の意外な関係」 (2/3) 1ページ目に戻る
2026.07.04
理学療法士・アスレティックトレーナー:池上 悠
「怒りっぽい」は性格じゃない? 身体のぎこちなさとの意外な関係
発達障害及び発達が気になる子どもをはじめ、5000人以上の発育・運動サポート実績を持つ理学療法士・アスレティックトレーナーの池上悠(いけがみゆう)さん。なかでも印象的だったのが、保育園時代からサポートしてきた男児(当時5歳)のケースです。
5歳のころは、走るのが遅い、転びやすい、動きがぎこちないなど身体面の課題に加え、「できる・できない」へのこだわりが強く、すぐに怒ったり泣いたりと感情的・衝動的な面もあったといいます。
「実際に走る姿を見ると、トップスピードに乗ったあと自分でうまく止まれず、転んで止まるような感じでしたね。保護者の方は、すぐ怒る子どもの様子から小学校に上がったときに友人関係は大丈夫か、体育の授業についていけるか、と心配されていました」(池上さん)
第1回でも触れたように、困りごとの多い子どもには、猫背や極端な内股・ガニ股、反り腰などの「姿勢のクセ」や、手足のぎこちなさが見られるケースが少なくありません。
そこで池上さんは、ぎこちなさをやわらげるために、手足を協調して動かす運動を取り入れながら、全身を使う有酸素運動を組み合わせました。
「有酸素運動は、身体を使ってエネルギーを発散する感覚を身につけていくことが目的です。感情的・衝動的な子どもには発散が非常に大きな要素です。エネルギーの出口を“身体側”にも作っていくイメージですね」(池上さん)
こうした運動を続ける中で、変化は、劇的に一気に起こるのではなく、小さな変化の積み重ねとして少しずつ見えてきます。たとえば、最初はよく怒っていたけどその時間が少し減る、落ち着いて取り組める時間が少し延びる、などです。
そして、保護者の関わり方の変化も、この男児の変化を後押ししました。
親の変化が子どもの成長を加速させる
池上さんは、子どもへの関わり方も重視しています。
指導の際は、「できた・できなかった」という結果だけで評価せず、「前より長く座れた」など、実際にチャレンジしたことを具体的に伝えることを意識しています。メニューも、7~8割できれば十分。あせらず、少しずつ「できた」を増やしていきます。
「運動のメリットのひとつは、小さな成功体験を段階的に積み重ねやすいこと。自分で身体を動かしますから、『やればできる』という感覚を育みやすく、それが自信や行動面の変化にもつながっていきます」(池上さん)
実際、先の男児も小学校に上がるころには情緒面も落ち着き、小学5年生となった現在も大きな困りごとなく過ごしているといいます。
その成長を後押ししたもうひとつの要因が、父親の関わり方でした。
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