
「怒りっぽい・転びやすい」5歳児が変わった! 子どもの情緒と運動・姿勢の深いつながりとは?[専門家が監修]
理学療法士・池上悠さんインタビュー#2「情緒と“姿勢のクセ”の意外な関係」 (3/3) 1ページ目に戻る
2026.07.04
理学療法士・アスレティックトレーナー:池上 悠
「当初はお母さんのみ取り組んでいましたが、子どもの変化を実感するようになってからは、お父さんもレッスンを見学するようになりました。
お父さんも『できた・できない』でとらえがちでしたが、やがて『チャレンジしたことを評価する』という視点を親子で共有できるようになると、子どもの成長のスピードもさらに上がっていきましたね」(池上さん)
良い姿勢が情緒面にも影響する理由
身体の使い方を整えることによる変化は、単に姿勢や動きの改善だけではありません。
「身体は、筋肉や骨格だけでなく、呼吸や血流、内臓、自律神経などが“チーム”のように一体となって働いており、その連携によって成長や神経の発達が促されています。
身体を整えるうえでの基本は『姿勢』と『体幹』です。良い姿勢とは、『リラックスした状態で自然にまっすぐ立てる』こと。
姿勢が整い、自然に胸が開いた状態になると、呼吸が深くなって酸素が取り込みやすいだけでなく、内臓も本来の位置で働きやすくなります。
すると、食べたものをエネルギーへ変える働きや、自律神経のバランスも整いやすくなり、身体全体のシステムが機能しやすくなるんです」(池上さん)
反対に、身体全体の働きがうまく巡らない状態では、疲れやストレスを溜め込みやすくなります。すぐに怒ったり泣いたりする背景には、呼吸や血流、神経の働きなど“身体の中の通り道”がとどこおり、感情やエネルギーの出口がうまく作れなくなっている状態にあると考えられます。
「例えば、『頭に血がのぼる』という表現がありますが、感情が高ぶると顔が赤くなったり、身体が熱くなったりするように、身体と感情は密接につながっているのです」(池上さん)
池上さんによると、“身体の中の通り道”がスムーズになると、神経からの信号も伝わりやすくなり、身体の感覚入力や反応の偏りも整いやすくなるといいます。
脳にも必要なエネルギーが届きやすくなることで、過剰な感覚反応や興奮状態が落ち着き、集中力や認知面、感情面にも好影響が広がっていくのです。
池上さんのアプローチは、いわゆる「運動療育」とも少し異なります。
運動療育とは、発達障害や日常生活での困りごとに対し、運動を通じて改善を目指すアプローチです。一方、池上さんが重視しているのは、すべての子どもに共通する“身体の土台づくり”だといいます。
「身体を支える、手足を動かす、歩く、走る──。人であれば共通して必要な“土台”があります。まずは、その土台である『姿勢』と『体幹』、手足の協調性などの『身体の使い方』を整えて、身体全体がスムーズに働きやすい状態をつくることを目指しています」(池上さん)
実際に運動に取り組んだ家庭からは、「集中力が上がった」「自分から新しいことに挑戦するようになった」「友達に話しかけるようになった」など、さまざまな変化の声が寄せられています。
「なかには『続けることが大切だよね』と自ら言う子もいますね(笑)。子どもはとても敏感なので、自分の中の変化もしっかり感じ取っています」(池上さん)
こうした身体づくりは、自宅でも簡単に取り入れることができます。
次回は、週1回から道具なしで始められるおうち遊びを紹介。姿勢づくりのベースになる体幹運動や、「感情的・衝動的になりやすい」「コミュニケーションが苦手」といった悩み別の具体的な遊び、関わり方のコツを伺います。
取材・文/稲葉美映子
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3回目を読む※2026年7月5日公開
池上 悠さんの本
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稲葉 美映子
フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。
フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。





































池上 悠
北里大学卒業後、整形外科クリニックにて幼児から高齢者までの治療・リハビリテーションを経験。並行して、大手フィットネスジムでのパーソナルトレーニング指導や、スポーツチームでのリハビリテーションサポートを行う。2020年、医療知識とスポーツ知識を活かした整体×パーソナルトレーニングの店舗を渋谷区に開業。 都内保育園にて、ケガ予防や身体の土台作りの運動指導レッスンを実施。現在は、発達障害の診断がある、または発達が気になる子どもや、スポーツに励む学生にパーソナルレッスンを行っている。0歳から高齢者まで、累計5000人以上、延べ3万件を超える発育・運動サポート実績がある。 著書に『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。 https://amzn.to/4dIZQb3 【Official Site】 https://yu-ikegami.com/
北里大学卒業後、整形外科クリニックにて幼児から高齢者までの治療・リハビリテーションを経験。並行して、大手フィットネスジムでのパーソナルトレーニング指導や、スポーツチームでのリハビリテーションサポートを行う。2020年、医療知識とスポーツ知識を活かした整体×パーソナルトレーニングの店舗を渋谷区に開業。 都内保育園にて、ケガ予防や身体の土台作りの運動指導レッスンを実施。現在は、発達障害の診断がある、または発達が気になる子どもや、スポーツに励む学生にパーソナルレッスンを行っている。0歳から高齢者まで、累計5000人以上、延べ3万件を超える発育・運動サポート実績がある。 著書に『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。 https://amzn.to/4dIZQb3 【Official Site】 https://yu-ikegami.com/