コロナ禍の「子ども食堂」 大学生や地域のつながりも救ったスゴいアイデアとは

子どもの居場所 ルポルタージュ #1-2 千葉県「TSUGAnoわこども食堂」コロナ禍でのつながり方

ジャーナリスト:なかの かおり

コロナ禍で不安になる心をケアする課題も

2020年6月に学校が再開し、日常が戻ってきました。コロナ禍では、集うようなイベントがなくなっていましたが、夏休みには、近くの専門学校の駐車場を借りて大学生ボランティアとプチ縁日をしたり、ハロウィンのときには、フォトスポットを作ったり、工夫をして子どもの楽しむ場も設けました。

2021年になっても緊急事態宣言が繰り返され、図書館や公共施設も思うように使えない日々。家が安心できる場でなかったり、1人でいることに不安や無気力を感じたり。どうやって子どもたちの心をケアするかが課題でした。

「東京オリンピック後の2021年9月には、デルタ株が大流行。子どもたちの居場所は、障害者の事業を運営する会社のオフィスを借りていることもあり、エッセンシャルワーカーに迷惑はかけられません。そこで、また別の場所を借りて、秘密基地を作りました。

大容量のWi-Fiを完備して、ご飯も提供します。タブレットを持ち込んで、学校のオンライン授業を受けられ、それをサポートする大学生のボランティアも来てくれました。

中学校で先生が陽性になったときは、言葉にできないモヤモヤを感じ、心配する子もいましたが、学校でも家庭でもない、この秘密基地で悩みを打ち明け、心のガス抜きができていたように思います」(田中さん)

秘密基地での昼ご飯。  写真提供:田中照美

2022年の1月に、オミクロン株の感染が拡大したときは、子どもカフェや子ども食堂のお弁当配布は中止しました。それでも、食材を提供するシェアパントリーは続け、過去最高の15件の利用がありました。

子ども食堂の寄付食材だけでは足りないため、地域の人からの寄付金で食品を購入して届けました。利用者からは、「命をいただいています」と切実なお礼が寄せられました。

子ども食堂や子どもカフェは、地域の資源の一つ。“地域の子どもを地域で育てる”。

こうしたミッションが根底にある田中さんは、コロナ禍でも臨機応変に支援の方法を判断し、“楽しいこと”、“おいしいこと”を大事にしてきました。

最終回となる第3回は、コロナ禍で子どもたちは実際にどんな悩みを抱えているのか? ウィズコロナ、アフターコロナの時代に、子どもたちの暮らしはどうなるかについて、田中さんと考えてみました。

取材・文/なかのかおり

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なかの かおり

ジャーナリスト

早稲田大参加のデザイン研究所招聘研究員。新聞社に20年あまり勤め、独立。現在は主に「コロナ禍の子どもの暮らし」、「3.11後の福島」、「障害者の就労」について取材・研究。39歳で出産、1児の母。 主な著書に、障害者のダンス活動と芸能界の交差を描いたノンフィクション『ダンスだいすき!から生まれた奇跡 アンナ先生とラブジャンクスの挑戦』、『家庭訪問子育て支援ボランティア・ホームスタートの10年「いっしょにいるよ。」』など。最新書『ルポ 子どもの居場所と学びの変化: 「コロナ休校ショック2020」で見えた私たちに必要なこと』が2022年10月22日発売。 講談社FRaU(フラウ)、Yahoo!ニュース個人、ハフポストなどに寄稿。 Twitter @kaoritanuki

早稲田大参加のデザイン研究所招聘研究員。新聞社に20年あまり勤め、独立。現在は主に「コロナ禍の子どもの暮らし」、「3.11後の福島」、「障害者の就労」について取材・研究。39歳で出産、1児の母。 主な著書に、障害者のダンス活動と芸能界の交差を描いたノンフィクション『ダンスだいすき!から生まれた奇跡 アンナ先生とラブジャンクスの挑戦』、『家庭訪問子育て支援ボランティア・ホームスタートの10年「いっしょにいるよ。」』など。最新書『ルポ 子どもの居場所と学びの変化: 「コロナ休校ショック2020」で見えた私たちに必要なこと』が2022年10月22日発売。 講談社FRaU(フラウ)、Yahoo!ニュース個人、ハフポストなどに寄稿。 Twitter @kaoritanuki