低年齢化が進む補助なし自転車デビュー。運動苦手な5歳女児に訪れた転機とは?

運動苦手な子どもも大成功! 30分で補助なし自転車に乗る方法【前編】

榎田 綾

補助なしデビューでおさえておきたいコツは6つ

自転車到着までの約1週間、私がしたことは娘をママチャリの後部座席に乗せ、風をきる気持ち良さを体感させること、そして自転車の仕組みや、こいでいる体の動きを観察させることでした。一方で夜になると自転車成功談ブログを読み漁り、YouTube動画を見ては、その中から娘の性格に合いそうな指導のコツを整理しました。

<“補助なし自転車”成功のコツ6>

①    グラグラしても親はハンドル部分を支えない
(➡子どもはそれを頼りにしてしまうから)

②    こぐ時には、まっすぐ前だけを向かせる
(➡後ろを気にすると、バランスが崩れるから)

③    一番最初はためらわずに後ろからおもいきり押した後、支えている手を離す
(➡速度が上がるほどバランスは安定するから)

④    うまくいかないときはゆるやかな下り坂でチャレンジ
(➡重さのないペダルで、こぐ感覚をつかめるから)

⑤    説明はていねいに。小さなことも、とにかくホメる
(➡当然のことが分からないのが子ども。やる気が大事だから)

⑥    長袖長ズボン、ヘルメットを必ず装着
(➡安全第一だから)

自転車デビュー成功の鍵は「バランスバイクの練習」からスタート

まずはペダルがない状態のバランスバイクの練習から。真新しい自転車に喜んでいた娘ですが、ストライダーとの重量の違いで最初は一度戸惑いました。ブレーキが付いている分、やはりストライダーと比べると重いのでハンドルがブレやすいのです。しかし自転車屋で試乗した時のような、一人で支えきれない重さではありません。

徐々に重さに慣れるとバイクにまたがり、バランスをとりながら歩き出しました。しかしのんびり屋の娘はなかなかスピードを上げようとはしません(笑)。そこで、「成功のコツ④」のゆるやかな勾配のあるコースへ誘導。下り坂で否応なくスピードが上がればバランスが安定するという法則を思い出したのです。

「怖くなかったら、足を離してみて」と伝え、坂の上から娘を見守ると、速度が上がるにつれ、足が地面から徐々に離れるように。今までと違う感覚の楽しさに気づいたのか、娘は何度も勾配を駆け下り、ブレーキの練習をし始めます。慣れてくると平坦な道でしっかり地面を蹴り、バランスを保ち、足を離すことができるようになりました!

ペダルをつける前のバランスバイクモード状態の「へんしんバイク」。長袖長ズボン、ヘルメットも忘れずに
写真:榎田綾

最後の難関「初めてのペダル」は 何度も繰り返していねいに

バランスバイクでブレーキとバランス感覚が安定してきた頃、本人の希望でペダルを装着。しかし三輪車に乗った経験がない娘はペダルのこぎ方が全くわかっていません。自転車を支えながら、娘の足をペダルに乗せ、ペダルを手で回してあげながら、感覚を覚えさせます。
なぜか後ろへ回してしまうので、「ペダルは前に踏み込んでこぐと、タイヤが回って前に進む」という原理をていねいに教えます。
そして後ろから自転車を抱え、実際にペダルをこぐ練習を繰り返し行いました。

後ろから自転車を持ち上げてペダルをこぐ練習。重いのでパパが適役!?
写真:榎田綾

ファイナル「実走」は 子どもの力を信じてためらわず背中を押す!

ペダルに慣れてきたら、いよいよ実走。自転車の後方を支え「前を見てね、前を見たまま、さっきの練習みたいにペダルをずっとこぐんだよ。」そう言って、容赦なく自転車を押し、手を離しました。

疑うことを知らない娘は、支えの手を離したことにも気づかず、前を見てペダルをこぎます。強く押した分、速度を保ち、バランスが安定。そのまま2、30メートルほど進み、なんと1回目で成功!! ブレーキを使わず、足を出して止まってしまいましたが、100点に近いデビュー! ペダルをつけてからほんの30分後の出来事でした。

こぎ出しがなかなか安定せず、しばらくは乗り始めにフォローが必要でしたが、達成感を存分に感じることができた娘はそれからも意欲的に自転車に乗り、あっという間に1人で乗れるようになりました。

2月の早生まれで、小柄なマイペース。同級生と比べると運動面ではできないことが多かった娘の初めての成功体験。公園で練習中の親子から「もう乗れるなんてすごいね!」などと声をかけてもらう機会が増え、それも娘の自信につながっていきました。できる喜びを知った娘は、今まで怖がっていたことにもチャレンジできるようになり、その後はなんと運動会でもビリを卒業! 成功から約2ヵ月後にはサイクリングコースデビューも果たし、3kmの距離を完走しました。

バランスバイクで必要な感覚を鍛えた後、自転車に移行していく「へんしんバイク」。慎重派の娘には、進化の過程を実感しながら、ステップアップできる仕組みも合っていたのかもしれません。親ができることは、まず子どもの大きさに沿った正しい自転車を選んであげること、そして的確なアドバイスを知って、子どものやる気を維持することだと実感しました。第2回では、このメソッドが果たして正しかったのか、へんしんバイクインストラクターの方にお話をお聞きします。

第2回「30分で補助なし自転車に乗る方法」【後編】は21年6月10日9:00〜公開です

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えのきだ あや

榎田 綾

書籍編集者

1979年生まれ。出版社にて育児情報誌、ファッション誌の編集・ライターを経て、書籍編集者に。 ファッション、美容、子育て等をテーマとした女性実用書の企画編集を手がける。2014年に独立。結婚、出産と共に福岡県へUターン。 小学生と未就園児、二人姉妹の母。子育ての合間の、ものづくりが息抜きで、アクセサリー作家としても活動している。

1979年生まれ。出版社にて育児情報誌、ファッション誌の編集・ライターを経て、書籍編集者に。 ファッション、美容、子育て等をテーマとした女性実用書の企画編集を手がける。2014年に独立。結婚、出産と共に福岡県へUターン。 小学生と未就園児、二人姉妹の母。子育ての合間の、ものづくりが息抜きで、アクセサリー作家としても活動している。