子どもの近視はタダでふせげる! 台湾で実証された“2時間の外遊び“の効果とは? 専門医が解説
子どもの近視予防 #3~近視の予防と抑制~
2024.11.07
眼科医、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO:窪田 良
では、日当たりがいいなら屋内でもいいのかと言ったらそうではありません。自然光が窓ガラスというフィルターにかけられて光量が減ってしまうので、あくまで「屋外」にいることが重要です。
屋外であっても近見作業はよくないですが、ゲームも家の中でやるよりは屋外でしたほうが、多少はマシなのかもしれませんね。
放課後は外遊びをしよう!
この「1日2時間外遊びをする」というたったひとつの活動で、子どもたちの近視は予防・抑制できます。これは、「近視はタダで治療ができる」と言えます。
世界的に見て日本の近視治療は後れをとっており、国民の近視に対する危機感は薄いと感じています。それは、近視が「病気」だと認識されていないことに原因があると思います。
しかし、それも少しずつですが変わってきています。2022年には、文部科学省が初めて、子どもたちの「眼軸長(がんじくちょう)」を測定した全国調査結果を発表。
眼軸長とは、目の角膜から網膜までの奥行き(長さ)のこと。長いほど近視の度合いが強くなります。日本でも、増え続ける近視に関して、何らかの取り組みをはじめようとしている雰囲気は感じます。
私は、全国の眼科クリニックやメガネ店に「1日2時間の屋外活動で、子どもの近視を抑制できます」というポスターを掲示してもらいたいと思っています。
歯科クリニックに行くと、「虫歯予防」や「歯磨きの仕方」などのポスターが貼られており、小さなころから親子ともに、歯の健康についての教育が行き渡っています。目も同じように小さなころから啓蒙活動をしていけば、人々の意識は変わっていくものだと思います。目の健康寿命を伸ばすことについて、真剣に考えてみましょう。
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次回は「近視になってもメガネをかければいいんじゃないか」と考える保護者について。近視が引き起こす目の病気と、最新の近視治療についてお話を伺います。取材・文/遠藤るりこ
遠藤 るりこ
ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe
ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe
窪田 良
慶應義塾大学医学部卒業。同大学大学院在学中に緑内障原因遺伝子「ミオシリン」を発見、「須田賞」受賞。 虎の門病院勤務を経て、2000年から米国に拠点を移し、ワシントン大学医学部眼科学教室助教授就任。2002年に創薬ベンチャー・アキュセラ、2016年に窪田製薬ホールディングスを上場。 「世界から失明を撲滅する」ことをミッションに掲げ、眼疾患に関する研究開発を行う。近著に、『近視は病気です』(東洋経済新報社刊)。 ・窪田製薬ホールディングスHP ・クボタグラスHP
慶應義塾大学医学部卒業。同大学大学院在学中に緑内障原因遺伝子「ミオシリン」を発見、「須田賞」受賞。 虎の門病院勤務を経て、2000年から米国に拠点を移し、ワシントン大学医学部眼科学教室助教授就任。2002年に創薬ベンチャー・アキュセラ、2016年に窪田製薬ホールディングスを上場。 「世界から失明を撲滅する」ことをミッションに掲げ、眼疾患に関する研究開発を行う。近著に、『近視は病気です』(東洋経済新報社刊)。 ・窪田製薬ホールディングスHP ・クボタグラスHP