【起立性調節障害:OD】子どもが「朝起きられない」 原因は怠けや夜更かしではない?

#1 中学生の約1割にみられる「起立性調節障害」とは

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発症にかかわる要因は?

──ODはどうして発症するのでしょう?

田中先生:不明な点も多いのですが、発症に関与する要因として報告されているものはこのようなものがあります。

1)急速な身体的成長
身長が伸びると、心臓と足の間の距離は長くなります。急に背が伸びると、心臓に血液を戻すための調節がうまくいかず、血圧や心拍の調節不良が生じるおそれがあります。

2)遺伝的な要因
ODのある子どものおよそ半数は、ご両親、またはいずれかも、かつてODだったという報告があります。ただし、親御さん自身は自分が「起立性調節障害という病気だった」とは自覚していないこともあります。

3)ホルモンバランスの変化
思春期は性ホルモンの分泌がさかんになり、生殖機能が発達を遂げる時期です。ホルモンは体のさまざまな機能に影響を及ぼすため、ホルモンバランスが急激に変化すると、調節不良が生じやすくなります。

4)ウイルス感染
インフルエンザなど、ウイルス感染により高熱を認め、体調を崩したあとに発症するケースも。

5)熱中症など
熱中症や発熱など、体温上昇が続いたあとに発症する例もあります。

6)ストレス
心理的なストレスが、視床下部の働きを乱し、自律神経の調節不全をまねくこともあります。

7)その他
自己免疫疾患などにより、起立性調節障害と同じような症状が出ることがありますが、別の疾患の可能性があるので注意が必要です。

朝起きられない子どもの体では何が起こっている?

──どうして「朝起きられない」「学校へ行けない」という状態になるのでしょうか?

田中先生:ODの子どもの体のリズムは、学校生活を中心にした生活のリズムとずれています。どちらも簡単には変えられないため、「学校に行けない」という事態が生じやすくなります。

学校生活を中心にした子どもの生活リズムは、日中は活動に、夜は休息にあてられることで成り立っています。多くの子どもは、この生活リズムと、体内時計が刻む体のリズムが一致しています。

ところが起立性調節障害の子どもは自律神経の働きに問題があるため、体のリズムの切り替えがスムーズにいきません。通常の生活リズムとのずれが生じやすく、無理に合わせようとすると調子を崩しやすいのです。

体内時計の1日の周期は本来24時間+10分程度とされています。朝起きて光を浴びたり、朝食をとったりすることでリセットされ、1日24時間の生活リズムにそろいます。

しかし、ODの子どもたちは、朝~午前中の体が休息モード。午後から活動モードへ切り替わるので、以降の体のリズムが生活リズムとどんどんずれていきます。

眠くなるのは目が覚めてからだいたい16時間後。目が覚めるのが正午なら午前4時頃まで眠れないのは当然で、早く寝ようとしても眠れない、朝起きられないという状態になってしまうのです。

『起立性調節障害(OD) 朝起きられない子どもの病気がわかる本』より

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今回は、起立性調節障害(OD)という病気の症状や要因について、田中大介先生にうかがいました。

次回は、起立性調節障害(OD)の疑いがある子どもを、どこの病院に連れていけばいいか、診断がついた場合の学校との調整方法などをご紹介します。

「怠けなのではないか」「夜更かしのしすぎでは?」などの誤解によってストレスがかかり、悪化してしまうこともあるOD。正しく診断されることが、ご家族にとっての最初の一歩となります。正しく理解して、回復を目指しましょう。

取材・文/佐々木 奈々子

田中大介
東京都生まれ。1990年、昭和大学医学部卒業。昭和大学病院NICU、公立昭和病院小児科、富士吉田市立病院小児科、昭和大学附属豊洲病院小児科などを経て、現在は昭和大学保健管理センター所長・教授、昭和大学病院小児科教授。戸塚共立おとキッズクリニック小児科等にて、起立性調節障害をはじめ、小児期から青年期の子どもの診療や保護者の相談にあたっている。

『起立性調節障害(OD) 朝起きられない子どもの病気がわかる本』(田中大介/監修)
起立性調節障害(OD)の根本的な原因を知ることが、適切に対応していくための第一歩です。本書では原因や症状など病気の基礎知識から対処法、学校とのかかわり方までアドバイス。ODの実態と悩む子どもの支え方がわかる一冊です。

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