子どもが食物アレルギー? 専門医が教える「受診の目安」と「意外な落し穴」

アレルギー専門医・岡本光宏先生「子どもの食物アレルギー最新事情」#1 〜受診の目安と診断方法〜

兵庫県立丹波医療センター小児科医長・アレルギー専門医:岡本 光宏

「卵アレルギーと言っても、じつは卵黄アレルギーは存在しません。卵黄を食べてアレルギー症状が出ることもありますが、それは卵黄に染み込んだ卵白の成分に反応しているからです」岡本先生。※撮影時のみマスクを外しています。  Zoom取材にて

卵アレルギーの自己申告は12%なのに実際は3%

よくある食物アレルギーのひとつが「卵アレルギー」です。しかし、驚いたことに「卵アレルギーだと思っている人の数より、実際に卵アレルギーの人の数は少ない」と岡本先生は言います。どういうことでしょうか。

「食物アレルギーの書籍『食物アレルギー診療ガイドライン2021』(著・監:海老澤元宏、伊藤浩明、藤澤隆夫/協和企画刊)によると、乳幼児を抱える親への調査で、子どもが卵アレルギーだと申告する親が12%いたのに対し、食物経口負荷試験を行った結果、実際に卵アレルギーだった子どもは3%、つまり約4分の1だったという調査報告があります。

どうしてこんなことが起こるかというと、血液検査で陽性が出たことで医師から卵アレルギーと診断されたケースや、『子どもに卵を食べさせて口の周りが赤くなったから、食物アレルギーに違いない』と親御さんが思い込んでしまうケースなどが考えられます。

仮に血液検査で高い数値が出ても、医師の指導のもとに少しずつ摂取することで、一定量の卵を食べられるようになったり、食物アレルギーが治ったりする可能性があります。

卵が食べられるようになれば、卵入りのパンや玉子焼きなど、子どもが食べられる食品の範囲も広がりますよね。しかし、中には、血液検査の結果を見て、『念のために卵を除去しましょう』と診断する医師もいます。

その場合、子どもが卵を食べられるようになるかもしれない機会を逃してしまうことになるのです。

私の小児アレルギー外来にも血液検査を希望される親御さんが多いですが、血液検査はあくまでも①の明確なエピソードがあった上で行われるもの。血液検査の結果だけで食物アレルギーを診断できるわけではないことを、改めて知ってほしいです」(岡本先生)

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食物アレルギー協会のHPには、食物経口負荷試験を実施している医療機関の情報が掲載されています。心配な方は該当する病院を調べてみるといいでしょう。

第2回は「念のため除去」の弊害について、さらに詳しく伺います。

乳幼児の病気に加え、小児科受診に必要なものまでをまとめた『赤ちゃんと子どもの病気・ホームケア事典』(監修:岡本光宏/朝日新聞出版)

岡本光宏(おかもと・みつひろ)
兵庫県立丹波医療センター 小児科医長。日本小児科学会小児科専門医、認定小児科指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床研修指導医、日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命処置法インストラクター。

※アレルギー専門医岡本光宏医師「子どもの食物アレルギー最新事情」は全3回。第2回は2022年7月2日、3回は7月3日公開予定です(公開日までリンク無効)。
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おかもと みつひろ

岡本 光宏

小児科専門医・アレルギー専門医

おかもと小児科・アレルギー科院長。日本小児科学会小児科専門医、認定小児科指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床研修指導医、日...

はた なおこ

畑 菜穂子

ライター

1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・...