子育てしながら「国家試験に合格」のシングルマザー 得たもの&失ったもの

第4回アラフォーADHD&シングルマザーの「リスキリング」~試験本番と合格発表~

【試験当日】
ひどい睡眠不足で迎えた試験当日。リュックに問題集や単語帳、壁に貼っていた暗記紙の一部を詰め込み、いざ出陣。

電車内でもホームでも歩いている途中でも、一心不乱に単語帳をめくり、ブツブツつぶやく私。声が大きくなっているかもしれないが、人目を気にしている場合ではない。受験会場でトイレを待つ長蛇の列の中でも、単語帳をめくり続けた。

結局、この日に見ていた単語帳の中から数問は出題されたので、ギリギリまで見ておいて本当によかった。

試験問題は難問奇問のオンパレード

試験開始。1問目から面くらった。なんじゃこりゃ!? 去年までの問題傾向と180度毛色が異なる難問奇問のオンパレードだったのだ。

社会福祉士の国家試験は2024年度から新カリキュラムに切り替わり、今回が変更後初の試験となる。とはいえ、社会福祉士の試験とは思えない激変ぶりだ。

用語も聞いたことのないものばかり。社会福祉士の試験なのに、交通違反の罰則問題が出たり、大正時代のできごとを問う問題が出たり(西暦で覚えるときっと解けない)。2択の事例問題も多すぎる。

これまでは基礎知識で解ける問題が多かったのが、今回は基礎知識をベースとした応用問題が大半だった。つまり、過去問ベースで勉強してきた人が太刀打ちできない問題に様変わりしていたのだ。

チーン、撃沈。オワタ。

昨年までの試験からガラリと傾向が変わった2025年2月の社会福祉士試験では、多くの受験生が泣かされた。
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帰りの電車では涙があふれた。社会福祉士受験生が集うオープンチャットを開くと、同じように戸惑い、悲しみ、怒り、混乱の声が連なり、受験生の多くが動揺していることを知った。

「ショックのあまり乗る電車を間違えた。車内で思わず涙がこぼれてしまった」と投稿すると、「泣いてしまうほど、がんばったってことですよね」とのリプライが。それを見てまた涙がじわっ。社福(社会福祉士)受験生はやっぱりみんな優しい。

帰り道、がんばってきた自分へのごほうびに、普段は絶対買わない高級ケーキを買った。一切れ650円也。でも、泣きながら食べる高級ケーキは、味がわからなかった。

夕方、元夫宅でお泊まりしていた息子を駅まで迎えに行った。その道中でも、また涙がこぼれてしまう。がんばってこらえようとしたものの、駅で息子の顔を見たらまた涙。そんな私を見て、息子の顔色はサッと変わった。

「試験、すっごく難しかったよ」ポロポロ涙をこぼし嗚咽しながら話す私を、息子は一生懸命なぐさめようとしてくれた。「……でも、まだわかんないんでしょ?」。そう話す息子自身、3日ぶりに会えた母親に、つもる話もあったはず。それなのに話しづらい空気にしてしまった。心を無にして、話題を変えた。

その夜、各予備校では、さっそくネット上で解答速報を出していた。ドキドキしながら自己採点。すると、おや? 予想合格ラインとされる「78点」ギリギリではないか。これは、も、もしや、奇跡が起こる、かも……!?

とはいえ、予備校によって解釈が異なるし、マークミスしていたら不合格だ。以前、模試でマークミスをして失点したため、本番ではきれいにマークを塗りつぶしたつもりだ。それでもうっかりの多い私のこと、ミスしていないとは限らない。

試験を終えて合否発表までの1ヵ月は、ふわふわ、そわそわと落ち着かない日々を過ごした。仕事を再開して気をまぎらわしつつも、結果が気になって仕方ない。

合格したけどリスキリングで失ったもの

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