子ども服の“お絵かき汚れ”はこう落とす! お洗濯マイスターの奥義公開

お洗濯マイスター・大貫和泉さんに教わる「子ども服の洗濯術」#3「お絵かき汚れ」

お洗濯マイスター:大貫 和泉

強敵「油性ペン」の落とし方

画材のなかでも特に落ちにくいのが油性ペンによる汚れです。頻繁に洗濯する子ども服の記名にも使われるほどですから、落ちにくさではトップクラスといっていいでしょう。

油性ペンのメーカーサイトでは、消毒用エタノールや除光液などを使った汚れ落としの方法が紹介されていますが、そういった材料が手元にないこともありますよね。

そこでおすすめなのが、高濃度の液体洗剤を使った「塗布放置洗浄」。汚れの部分に洗剤を直接塗りつけ、ひと晩放置してから通常通り洗濯します。ひと晩放置することで、時間とともに洗剤中の水分が蒸発し、洗浄成分が濃くなり、汚れを溶かし出してくれます。

ただし、インクの種類や付着した量によっては完全には落ちないことも。また、衣類によってはシミになったり素材を傷めてしまったりすることもあるので、目立たない部分で試してから行ってください。

〈塗布放置洗浄のやり方〉

①汚れた部分の下にタオルを敷く
洗剤や汚れが服のほかの部分につくことを防ぐため、油性ペンがついている部分の下にタオルなどを敷きます。

胸や背中の部分に汚れがついている場合は、写真のように服の間にタオルを挟むようにして。 写真提供:ライオン株式会社 生活情報サイト「Lidea」

②汚れに洗剤を直接塗布する
キャップに洗剤をとり、汚れ部分に直接塗布します。

汚れの部分にかかるように洗剤を塗布します。 写真提供:ライオン株式会社 生活情報サイト「Lidea」

③そのまま一晩おく
その状態のまま、ひと晩放置。洗濯機のふたの上などで放置すると、洗剤がタオルを通り越して染み出し、ふたについて傷めてしまうことがあるので、必ず洗面台の上などで行いましょう。

水分が蒸発し、洗剤成分が濃くなることで汚れを落とす力が強まるので、ラップなどで覆う必要はありません。 写真提供:ライオン株式会社 生活情報サイト「Lidea」

④通常通りに洗濯する
翌朝、通常通りに洗濯します。洗剤は、塗布洗浄に使用した量を差し引いた量を投入しましょう。

必要量の洗剤を足して洗濯します。ほかの衣類も一緒に入れてしまってOK。 写真提供:ライオン株式会社 生活情報サイト「Lidea」

なお、この「塗布放置洗浄」は、あくまでも「うっかりついてしまった」程度の軽い筆圧の汚れを落とすためのもの。

油性ペンで書いた名前など、強い筆圧で書いたものはそう簡単には消えませんから、「名前が消えてしまうのでは?」といった心配は無用です。

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全3回でお届けしてきた「子ども服の洗濯術」、いかがでしたか。

カレーやミートソースの食べこぼし、油性ペンの汚れなどは、一度洗って落ちないと「もうダメだ」とあきらめてしまう人も少なくありません。でも、多くの汚れは、酸素系漂白剤や高濃度液体洗剤などを上手に使えば、家で洗濯するだけで落ちることも多いのです。

大切なのは「汚れたらすぐ洗う」こと。早く洗えばそれだけ汚れも落ちやすいだけでなく、衣類に負担をかけずに汚れを落とすことができます。これは子ども服だけでなく、大人の衣類でも同じ。お気に入りの服を長く着るためにも「早めの洗濯」を心がけましょう。

取材・文/三村 泉

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おおぬき いずみ

大貫 和泉

お洗濯マイスター

ライオン株式会社お洗濯マイスター。消費生活アドバイザー、繊維製品品質管理士、健康予防管理専門士。洗濯用洗剤などの製品開発・調査に約20年携わる。2児の母親としての経験と長年の研究活動を融合し、主婦・母親・女性目線で日々のお洗濯に役立つ情報を伝えている。

ライオン株式会社お洗濯マイスター。消費生活アドバイザー、繊維製品品質管理士、健康予防管理専門士。洗濯用洗剤などの製品開発・調査に約20年携わる。2児の母親としての経験と長年の研究活動を融合し、主婦・母親・女性目線で日々のお洗濯に役立つ情報を伝えている。