
【子育て中にリスキリング】のリアル全公開 フリーランス・発達障害・アラフォーのシングルマザーが「国家試験」(社会福祉士)合格するまで
第1回アラフォーADHD&シングルマザーの「リスキリング」~養成校入学の壁~
2025.07.06
きっかけは女性相談員との出会い
長年フリーライターで、シングルマザー(以下シンママ)でもある私が、国家資格である「社会福祉士」の資格を得たいと最初に思ったのは、今から5年前の2020年。アラフォーのとき。
社会福祉士とは、医療・福祉・教育・介護などの現場で、相談支援業務に携わる国家資格のひとつで、「ソーシャルワーカー」とも呼ばれている。
なぜ突然、ライターと畑違いの福祉業界を? と首をかしげる人もいるでしょう。
そもそも、私はひとり息子を抱えるシンママの身。仮に社会福祉士の資格を得られ、運よく就職できたとしても、アラフォーで未経験からのスタートでは親子2人が食べていくのは難しいかもしれない。
それに子育てと仕事の両立だけでも時間と余裕がないのに、勉強時間まで作れるのか?
ある友人は、私が社会福祉士を目指したいと告げると眉をひそめ、「どうせリスクをおかすなら、もっと今の仕事に役立ち、より稼げる資格を取ったほうがよいのでは」と言った。ごもっとも!
それでもあえて社会福祉士を目指そうと思った理由のひとつは、社会に恩返ししたいと思ったから。
2016年(9年前)―――、当時の私は2歳の息子を抱えて真剣に離婚しようとしていた。離婚後の住まいや生活設計に不安を感じていた私は、離婚前後の相談支援機関に駆け込んだ。
その際、別居までの段取りを一緒に考え、アドバイスし、一時的な住まいを提供してくれた支援チームの一人が、社会福祉士の女性相談員だった。
支援を受けることにためらいを見せた私に、彼女は力強い口調で、こう言った。
「あなたには幸せになる権利があります。それは日本国憲法第13条でしっかり保障されているんです。後ろめたく感じる必要は一切ありません」
この一言に、どれほど勇気づけられただろうか。私はこの言葉に背中を押され、息子と家を出ることができた。その後、泥沼の親権争いや離婚調停で生きた心地がしない日々を送るも、無事親権が取れ離婚が成立。なんとか母子2人でつつましくも穏やかに暮らす生活が実現できた。
あのとき一歩踏み出せたのは、そして今の幸せがあるのは、この女性相談員を筆頭に、多くの人々に助けられてきたから。彼らには感謝してもしきれない。
暮らしがやっと落ち着きだし、そんなことを考えられるようになったころ、ふと私の中から新たな思いがムクムクわき上がってきた。
「私は今までたくさんの人に助けてもらってきた。今度は自分が誰かを支える番だ。それが、これからの私の“使命”なんだ」と。
生活もやっとの母子家庭で何を突拍子もないことをと笑われるかもしれないけど、この“使命感”は稲妻のように私の中を突き抜け、その思いは日に日に増して強くなっていった。
また、社会福祉の制度やソーシャルワークの援助技術には関心があり、つねにアンテナを張っていた。
フリーランスは収入が不安定なうえ、雇用保険や厚生年金には加入できない。休職中の生活費や老後資金は自己責任で貯めておく必要がある。状況によっては、生活保護を受ける可能性もゼロじゃない。
ひとり親になってからは、貧困家庭への支援など福祉関連のニュースはますます身近に感じるようになっていた。社会保障などの制度は知っておいて損はないはず。むしろ、網羅しておきたい。どうせなら、制度ができた背景や体系的なことも深く学んでみたい。
それに、ソーシャルワークの相談援助技術を通して、「人に寄り添う」ということがどういうことなのかも、学んでみたかった。
つまり、私の関心事は社会福祉士の学習内容と見事一致していた。こうして私は2020年、社会福祉士の資格を取るためのリサーチを始めた。相談支援機関に駆け込んでから約4年、離婚が成立して半年後のスタートだった。