【子育て中にリスキリング】のリアル全公開 フリーランス・発達障害・アラフォーのシングルマザーが「国家試験」(社会福祉士)合格するまで

第1回アラフォーADHD&シングルマザーの「リスキリング」~養成校入学の壁~

状況が整った段階で2度目の出願を果たす

今思えば、あのとき断念したのは正解だった。その直後から、私は見事「小1の壁」に直面し、自分の勉強どころではなくなったからだ。養成校の入学を辞退してからは、引き続きライター業と子育てに奔走した。

ところが2022年、息子が小2の秋、社会福祉士への思いがふつふつと再燃してきた。

このころ、私は自分の“抜け漏れ”の多さに落ち込むことが多かった。仕事・子育て・家事に、プレ更年期の症状も出るわで、頭は常にとっちらかり状態。あらゆるシーンで漏れや失敗が勃発し、多方面に謝罪をしては自己嫌悪に陥る日々……。

ある日思いきって、以前から疑っていた発達障害の検査を受けてみた。診断結果は予想どおり「典型的なADHD(注意欠如・多動症)」だった。

結果を受け、さまざまなことが思い出された。これまで自分がやらかしてきた無数の失敗、失態は、ADHDに起因していたのだろう。過去を振り返ると同時に、今後の生き方について考えた。

もしかしたら、専門知識があれば今よりは生きやすくなるかもしれない。「心のお守り」としても、やっぱり、社会福祉士の資格を取ってみようか。

それに、ひとり親の苦労や、発達障害の忸怩(じくじ)たる思いを経験してきた私だからこそ、できることがあるのかもしれない。

社会福祉士の資格を活かし、困っている人に寄り添い解決策を探る。そうして相手が少しでもラクになれば、自分が生きている意味を見出すことができるのでは。裏を返せば、それほど今の自分は役立たずのポンコツで、無価値な人間なのだと落ち込んでいた。

このころには、以前懸念していた「スクーリングの日の子どもの預け先」や「実習期間中の休職」の問題はほぼ解消していた。

小2になった息子は一人で電車に乗って習い事に行けるようになり、子どもだけで公園に遊びに行く機会も増えている。多少不安は残るものの、年に数回ならば息子が習い事などに行っている間に、スクーリングに出席できそうだった。

長期間仕事を休む決心もついた。かれこれもう20年近く馬車馬のように働き続けてきたので、ここらで少しだけ仕事から離れてもいいだろう。一度断念してから2年近く経ち、そんな心境にも達していた。

経済面でいえば、ひとり親向けの「高等職業訓練促進給付金」制度(※)も大きな後押しとなった。受給要件を満たし、制度を使うことができれば、私の場合、総額で170万円ほどが支給されることがわかった。これがのちに、どれほど生活の支えになったことか。

※=高等職業訓練促進給付金のご案内/こども家庭庁

かくして2023年4月、息子が小3になった春、私は満を持してB養成校に入学した。これでようやく社会福祉士の勉強ができる──。2年越しの夢がかない、万感の思いに浸る私。

だが、その後待ち受けていたのは、「学業・仕事・子育て」の3足のわらじに苦悩する日々だった。

取材・文/藤川ユキ

【プロフィール】
藤川ユキ
フリーライター。出版社勤務を経てフリーに。結婚・出産・離婚を経て、2025年7月現在、小5(10歳)の息子と2人暮らしをするアラフォーのシングルマザー。2023年4月に社会福祉士養成課程のある通信制養成校に入り、2024年9月に卒業。現在はライター業を続けている。

連載は全4回 (※公開時よりリンク有効)

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