【子どものスマホ】利用時間を減らす秘策 「家庭内でルールを作り、親も守る」が想定外の効果〔脳科学者が解説〕

子育て中の家庭が知っておきたい「スマホ利用のリスクとメリット」 #2 ~東北大学助教・榊󠄀浩平先生に聞く、スマホ時間を減らすための方法編~

東北大学応用認知神経科学センター助教:榊󠄀 浩平

スマホの利用時間を減らす秘策

──それはすごいですね。やはり家庭で対策するのは難しいのでしょうか?

榊󠄀先生:いいえ、実は家庭を対象にした別の実験を行ったところ、非常に効果が高く出た対策があるのです。

それは、「親子でルールを作り、親も一緒に守る」というもの。これをやると、いかにルールを守るのが大変か、親御さん自身も身にしみてわかるので、自然と共感的な声掛けが増えるんですね。すると親子で仲間意識が高まり、学校やクラスでやるのと同じような効果が得られるのです。

以前、中学校の期末試験に合わせて、この親子ルールの実験を行ったのですが、たった2週間でテストの成績が軒並みアップしました。さらに、遅刻が減った、宿題をやるようになったという報告もあり、私たちも本当に驚いています。

子どもだけでなく、親も共通のルールを守ることが大事と榊󠄀先生。  写真:アフロ
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ルールを決める前に2つの守ること

──早速、試してみたいと思います。しかし、ルール決めが最初のハードルになりそうです……。

榊󠄀先生:ルールを決める前に、やってほしいことが2つあります。1つめは、スマホ利用のリスクを子どもに伝えることです。このときのポイントは、親の感情を差し挟まないこと。あくまでも情報として冷静に伝えることが大切です。説教臭くなると、子どもは反抗したくなりますから。

2つめは、普段自分がどれくらいスマホを利用しているか、時間や用途をお互いにリストアップすることです。これによって、自分自身を客観的に見つめることができますし、親子共通のルールも作りやすくなります。

そしてルールは、親が一方的に押し付けるのではなく、子どもと一緒に決めるようにしてください。目標は、自分自身で使い方をコントロールできるようになること。自分でルールを決めて、自分で守ることができたという成功体験は、一生ものの財産になりますよ。

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