「体験型学習」が子どもを変える! 設立100年超え・伝統私立小学校の挑戦

【小学校教育2.0】自由学園の実践#1「体験からはじまる学び(前編)」

刺激し合うことで学びが走り出す

体験から出発することで、子どもたちの好奇心が高まり、スムーズに学びを進められることがわかります。しかし、授業で取り上げたテーマや実施した「体験」に対し、興味を持てない子はいないのでしょうか。

「当然ですが、子どもの興味は一人ひとり異なりますので、どんな体験でも、すべての子どもが最初から同じだけの高い熱量で取り組むわけではありません。

ただ、先ほどもお話ししたように、先生たちが子どもたちの興味にアンテナを張って工夫していくと、まずは一部の子が『知ってる知ってる!』などと関心を示し、授業を引っ張ってくれます。

そして、実際に手や身体を動かしていくうちに、徐々に他の子どもたちも意欲的になり、自発的に学習する子が出てくる。

それを授業のなかで、『●●さんが、これについて調べてきてくれたよ!』『▲▲さんが資料を持ってきてくれたよ』などと紹介すると、子どもたちはさらに刺激を受け、『じゃあ、これはどうかな?』『あっちはどうかな?』と疑問や興味が湧いてきて、それぞれの学びが走り出していきます」(高橋先生)

他の子の反応や対話などから良い影響を受けることにより、最初はそれほど積極的でなかった子どもも、少しずつ自分が面白いと思える内容を見つけていきます。

子ども同士の関わりから、学びが広がっていきます。  写真提供 自由学園初等部

「こうした学びの形式は、いろいろな子どもたちが集まる学校という場だからこそできると思っています。子どもたちが一緒に学習することで、それぞれ刺激し合い、高め合っていくことができるのが、学校の良さですね」(高橋先生)

子どもがお互いに刺激し合える「学び」を実践しています。  写真提供 自由学園初等部

ただ「体験」を用意するだけでなく、先生方が常に子どもたちの様子に目を凝らし、学ぶ意欲が高まる工夫をすることで、こうした「手触り感」のあるいきいきした学びが実現していたのです。

第2回は、体験が育んだ子どもたちの興味を新しい学びにつなげる授業の実践と、先生方が大切にしている視点などについてうかがいます。

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学校法人自由学園 初等部
東京都東久留米市にある、豊かな自然の中で子どもが子どもらしく学ぶ私立小学校。子どもたちに「気づき」を促しながら、自ら学び、考え、行動できる力の土台を作ることを目指す。幼稚園から最高学部(大学部)までの一貫教育にて、SDGs・ESDとも関連しながら環境文化創造に関わる一貫教育を実践している。

取材・文 川崎ちづる

『【小学校教育2.0】自由学園の実践』の連載は、全4回。
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※公開日までリンク無効

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かわさき ちづる

川崎 ちづる

Chizuru Kawasaki
ライター

ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。

ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。