「体験型学習」が子どもを変える! 設立100年超え・伝統私立小学校の挑戦

【小学校教育2.0】自由学園の実践#1「体験からはじまる学び(前編)」

ライター:川崎 ちづる

自由学園では、学びに多種多様な体験を取り入れています。   写真提供 自由学園初等部

「自ら考え、主体的に学ぶ力」が重視される昨今。少しずつではありますが、子どもたちの自主性を尊重した教育を行う学校や塾が増えています。

そんななか、100年以上前から、子どもの学ぶ意欲や主体性を信じ、それらを引き出す教育を行ってきた私立の学校があります。

学校法人自由学園です。

小学校にあたる初等部では、「体験」を学びの出発点と位置づけ、自然と触れ合いながら、五感を使って全身で学ぶ授業を展開しています。実感の伴った興味や疑問から学習を進めることで、子どもたちはワクワクしながら主体的に授業に参加しているといいます。

具体的にどのような授業を行い、先生方はどう子どもたちの学びを支えているのでしょうか。

本連載では、自由学園初等部が実践する「体験を柱とした学び」「正解のない問いに自分だけの答えを見つける探求学習」などについて、4回に渡って紹介します。

第1回は、「体験」から学びをはじめる意義、実際の授業内容などについて、初等部部長(校長)の高橋出(たかはしいずる)先生にうかがいました。

※全4回の第1回

学びは「体験」からはじまる

自由学園は、1921(大正10)年に設立された歴史ある学校です。小学校にあたる初等部だけでなく、幼稚部(幼稚園)、中等部(中学校)、高等部(高校)、最高学部(大学)があり、初等教育から高等教育までを網羅しています。

設立者の羽仁もと子・吉一夫妻は、今から100年以上も前に、知識を詰め込むことを重視して画一的に行われる学校教育に疑問を感じていました。

「子ども自身のなかに、“自ら学びたい”という意志がある」。そう信じていた羽仁夫妻は、自分の頭で考え、行動する力を持った人間を育てるために、一人ひとりの存在を大切にした、家庭的な学校を創りました。それが自由学園のはじまりです。

東京都西部の東久留米市にある学園は、10万平方メートルと広大な敷地を有しています。このキャンパスが、豊かな自然の中で四季折々の変化に直接触れながら、じっくりと学ぶことを可能にしています。

自由学園初等部のグラウンド。  写真提供 自由学園初等部

初等部部長(校長)の高橋先生は、自然が身近にある環境の意義をこう語ります。

「自由学園では、学びは『体験』からはじまると考えています。

目の前のものを見つめ、触って、香りを確かめる。そこで得た実感から、『なぜだろう』『こっちはどうなっているのだろう』などといった疑問や興味が湧く。それを、自分なりに考えていく。こうした体験こそが学びとなり、学びを通して積み重ねたものが知識になるのです。

学園内の自然は、子どもたちにとって最高の『学びの材料』です。学びを教室の中だけで完結させるのではなく、外に出て自然に触れ、五感を働かせて学習することを大切にしています」(高橋先生)

学校の敷地内には、小川も流れています。  写真提供 自由学園初等部

また、自由学園では、学習と生活を結びつけることも重視しています。

「日常の生活のなかで、自分たちでできることはなるべくやってみる。それが学びにつながります。

掃除はもちろん子どもたちで行っていますし、全学年畑で野菜の栽培をしています。高学年になると学校運営も子どもたちが主導します。

野菜の苗を運ぶ子どもたち。  写真提供 自由学園初等部

そのなかで、例えば野菜の生育状況を観察すれば理科に、収穫して重さを計れば算数になります。

生活しながら自分の身体を動かして知ったことは『自分ごと』になり、子どもたちのなかに蓄積されます。それらをまた生活に生かしていく。このサイクルを繰り返し、学びを深めていくのです」(高橋先生)

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