漫画だから「お金」がもっとわかる! 親子で読みたい「お金漫画4作品」マンガ研究家が厳選

マンガナイト代表理事・山内康裕さんに聞く学べる漫画 #2 お金が学べる漫画4選「税金で買った本」「ビリオネアガール」「インベスターZ」「望郷太郎」

マンガナイト代表理事:山内 康裕

親子で「お金」が学べる漫画とは!?  写真:mapo/イメージマート

親子で楽しみながら学べる「学習エンタメ漫画」を、マンガ評論家・山内康裕さんに教えていただく連載2回目。
今回は読むと「お金」が学べる漫画4選をご紹介します。

山内康裕(やまうち・やすひろ)
2009年、マンガを介したコミュニケーションを生み出すユニット「マンガナイト」を結成し、2020年に法人化。「マンガと学び」の普及推進事業や、拠点営業「マンガピット」(日本財団助成)、展示事業等を展開。さいとう・たかを劇画文化財団代表理事、「これも学習マンガだ!」事務局長、東京工芸大学芸術学部マンガ学科非常勤講師なども務める。

漫画は「お金の教科書」にもなる!

──投資ブームといわれる今、お金や投資にまつわる情報を目にする機会も多くなりました。あえて「漫画でお金を学ぶこと」の意味は何でしょうか?

山内康裕さん(以下、山内さん):漫画は知識や情報にストーリーを絡めることで、人の心の動きや真意も描くことができます。読者は、登場人物に自分を重ね合わせてお金を扱ったり、お金に振り回されたりと、想像力をより刺激される点も大きいですね。

人間とは、ただお金を儲けるために生きているわけではありません。儲けた先にあるもの、大切なことや本質的なことを面白く伝えられるのが漫画の力だと思います。

今回は、初心者がお金についてわかりやすく学べる漫画4作品を選びました。

1.税金で買った本

『税金で買った本』原作:ずいの、漫画:系山冏(講談社)

あらすじ
ヤンキー高校生・石平紀一は、訪れた図書館で10年前に借りた本を返却していないことを指摘され、貸し出しを断られてしまう。そのことをきっかけに、図書館に通うようになり、ついにはアルバイトとして働くことに。税金で購入する本の大切さ、利用者とのトラブル、イベント運営の仕方など、意外と知られていない図書館の裏事情がコミカルに描かれる。

山内さん:図書館はいつでも誰でも利用できる身近な公共サービスです。税金があるからこそ、私たちは無料で本やDVDが借りられます。公共の図書館が何のために、どのような考えのもとで運営されているかが、読むとよくわかります。

──印象に残る場面はありますか。

山内さん:とある大学生が、タダでスマホなどを充電しようと図書館にやってくるのですが、金額に換算すると結局、数円~5円くらいにしかならないとわかって愕然とします。

「じゃあ、(生活の)コスパを上げるために本を借りたらいいんじゃない?」とスタッフに言われて、本を読むようになったというシーンがユニークです。

「税金で買った本」1巻120ページ。
「税金で買った本」1巻121ページ。

──親としては、子どもにたくさん本を読んでほしいから図書館に足を運ぶのですが、この作品は単なるお仕事漫画ではなく、お金や税金を絡めて描く発想が面白いですね。

山内さん:くだんの大学生にも、「税金を払っているんだから、公共の施設やサービスは利用しないともったいない」という意識が芽生えるんですね。

そんなふうに税金がどんなことに使われているのか、読むことで公共のお金の流れに対して、お子さんが興味を持つきっかけになると思います。

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