テストから読み解く ケアレスミスをする子どもの傾向
親御さんが見ている我が子の実力は、テストができたか・できていないかという、結果が元になっていると野先生は指摘します。
「テストの結果を見て、親御さんはミスの原因を子どもがおっちょこちょいなだけだと思っていることがありますが、おっちょこちょいを細分化すると、できることとできないことの分岐点が見つかります。
できていないケースを集約すると、問題文の最後を見落として正しく回答できていないだけで、トレーニングをすれば改善できるといった例が多々あります」(野先生)
たとえば、該当箇所を抜き出す国語のテストで、途中までは抜き出すけれど最後の1文字まで書かずマイナスになるパターンの子どもは、生活の中でも親御さんの話を最後まで聞かず、思い込みで行動する傾向があります。
「文字数の指定がある問題も、記入してマスが余っているのに変だと思わない。そういったお子さんは自分がパッと思いついたことをそのままやってしまい、周りを見ていないタイプが多いでしょう。
国語のテストは、『○字で』や『○文字以内で』などと文字数制限があったり、理由を聞かれて『○○だから』と答えたりする回答の型があります。
問題文を読んで聞かれたことを理解していても、この前提がなぜか思考回路でつながらず、ケアレスミスとして得点にならないケースがたくさんあります」(野先生)
型の理解不足の場合は、パターンを習得すれば得点につながります。まずは回答形式を理解できているか確認し、問題文に合う「結び」で答えられるよう丁寧に教えてあげましょう。
問いに対応する結びの例
「なぜですか?」という問い → 「~だから」という結び
「どんなことですか?」という問い → 「~こと」という結び
「どんな様子でしたか?」という問い → 「~な様子」という結び
ご家庭で教える場合は、問題文の問いかけ部分に線を引いてあげることも答える形式を意識させる場合に効果的です。記述の仕方がわかってくると、だんだん正しく答えられるようになっていきます。
また、ご家庭では日ごろから主語と述語を使って話し、問いに対応する結びを使うなど、省略せずに話す練習をするのもいいでしょう。
子どものやる気が継続 ほめて伸ばす声かけのポイント
答案用紙を見たときに空白がどこにどのくらいあるのかでも、子どものタイプはわかります。
「空白が途中でポコポコあるときは、わからない問題を飛ばしてわかるものから答えようとする効率重視タイプ。中学受験は問題数が多く、わからない問題をいつまでも粘っていては時間が足りなくなります。飛ばして次の問題に取り掛かるのはより多く得点していくために必要な手法で、これは『ほめポイント』です。
ただし、効率重視タイプの中には飛ばしたことを忘れてしまい、時間が余っても、戻って問題に取り組まない子もいます。こういった子どもはテスト後にじっくり話を聞いて親子で対策を練ることで、次はどうすれば防げるか子ども自身が考えられるようになります。飛ばし忘れ対策を自分で考えられることもほめポイントです」(野先生)
もし、最後のほうにまとまって空白があるのなら、一問一問じっくり取り組んだ結果、タイムアウトになったと考えられます。詰まって考え込んだのか、普段はできるのに緊張して解けなかったのか、1つ解けない問題に当たったのがプレッシャーとなり、それ以降が答えられなくなってしまったのか、など理由はさまざまです。
こういった場合は、できなかったことを責めたり𠮟ったりするのではなく、どうしたらできるようになるかを子どもから引き出しながら作戦会議をするといいでしょう。
親御さんは子どもの一番の応援団です。「次はできるね」などと希望を持たせるような声かけを心がけたいものです。
次回は、ケアレスミスを減らす「ミスの見える化」トレーニングについて解説します。
取材・文/石牟礼ともよ
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◆野 英利香(の えりか)
オンライン全国個別指導塾「E-School☆」代表。中高の数学と理科の教員免許を活かして、家庭教師から口コミで広がった塾の経営は17年目。東京と山形を拠点に勉強を習慣化するためのオンラインスクールを運営し、小学生から高校生まで日本国内外の子どもたちを指導している。塾講師としての経歴は20年を超え、これまで3000人以上の指導実績がある。
著書は「小学生のためのケアレスミスがなくなる本」(すばる舎)、「中学入試 親子で取り組む! ケアレスミスがなくなるドリル」(日本能率協会マネジメントセンター)。
【ケアレスミス】「中学受験」までに家庭でできる対策と親のサポート術の連載は、全3回。
第2回を読む/12月4日よりリンク有効
第3回を読む/12月5日よりリンク有効
【関連書籍】


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