相手の気持ちがわかる! 小・中学生がハマる性別・身分「入れ替わり」本6選

出版ジャーナリスト・飯田一史のこの本おススメ! 第10回 「入れ替わり物語」 (4/4) 1ページ目に戻る

出版ジャーナリスト:飯田 一史

⑤『君の名は。』

入れ替わりものにはご存知のヒット作、新海誠『君の名は。』もありますね。男女入れ替わりものであり、都会と田舎の入れ替わりものでもあります。

『君の名は。』
著:新海誠(角川文庫)
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金銭感覚や人間関係(コミュニティ)のありようも、主人公ふたりではそれぞれに違い、どちらの立場に近い人でも感情移入しやすい作品になっています。

小中高生の親世代には説明不要でしょうし、2020年代に入っても中高生に監督自身が手がけた小説版が読まれつづけています。

ですが映画公開は2016年で、もう10年前。小中学生だと知らない、観たことがない場合も少なくないでしょう。10年前は、今の世代にとってはぜんぜん「最近」ではありません。大人から作品を手渡すときに、そういった意識を忘れないようにしましょう。

⑥『ひなたとひかり』

ふたごの入れ替わりものも定番の設定です。これは「自分が別の環境で育っていたらどうなっただろう?」「自分がもし違う場所で別人のように日々を過ごしたらどうなるだろう?」という想像をかきたてるものです。「中身は自分のまま、別人のように生きてみたい」という願望もありますよね。

ふたごの入れ替わりものの名作としてはエーリッヒ・ケストナー『ふたりのロッテ』などがありますが、最近の作品では高杉六花の『ひなたとひかり』でしょう。

『ひなたとひかり(1)』
作:高杉六花/絵:万冬しま(講談社)

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おとなしく平凡な女子である日向(ひなた)とトップアイドルの光莉(ひかり)という一卵性双生児を主人公に、勉強が苦手な光莉に代わって、日向が光莉の通う私立ステラ学園に通って試験を受けます。ところがそこで自分が憧れていた男性アイドル・壱弥の裏の顔を見てしまい……というストーリー。

光莉と入れ替わることによって、日向は今まで考えたこともなかった、自分の演技や歌の才能に気づいていきます。

『ひなひか』は見た目や立場、ふるまいや過ごす場所を変えれば、新しい自分を発見できるかもしれない。そう思わせてくれる作品。何かにチャレンジする、今までと違ったことをする、自分の殻を破るには勇気が必要です。そんなときに背中を押してくれます。

入れ替わりものを読むことで、非日常の世界を疑似体験できます。それに加えて、自分がどんな存在になりたいのか、自分はどんなふうに見られているのかを改めて考え、行動を起こしてみるきっかけにもなります。

「入れ替わり物語」にひとつハマるものに出会ったら、他の作品も読み比べをしてみると、より深い気づきがありますよ。

文/飯田一史

【好評連載】出版ジャーナリスト・飯田一史のこの本おススメ! 過去記事はこちら

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飯田 一史
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飯田 一史

Ichishi Iida
出版ジャーナリスト・ライター

青森県むつ市生まれ。中央大学法学部法律学科卒。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了(MBA)。 出版社にてカルチャー誌や小説の編集に携わったのち、独立。国内外の出版産業、読書、子どもの本、マンガ、ウェブカルチャー等について取材、調査、執筆している。 JPIC読書アドバイザー養成講座講師。 電子出版制作・流通協議会 「電流協アワード」選考委員。インプレス総研『電子書籍ビジネス調査報告書』共著者。 主な著書に 『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』 『「若者の読書離れ」というウソ』 (平凡社)『マンガ雑誌は死んだ。で、どうなるの?』(星海社)『ウェブ小説30年史』(講談社)ほか。 ichiiida.theletter.jp

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青森県むつ市生まれ。中央大学法学部法律学科卒。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了(MBA)。 出版社にてカルチャー誌や小説の編集に携わったのち、独立。国内外の出版産業、読書、子どもの本、マンガ、ウェブカルチャー等について取材、調査、執筆している。 JPIC読書アドバイザー養成講座講師。 電子出版制作・流通協議会 「電流協アワード」選考委員。インプレス総研『電子書籍ビジネス調査報告書』共著者。 主な著書に 『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』 『「若者の読書離れ」というウソ』 (平凡社)『マンガ雑誌は死んだ。で、どうなるの?』(星海社)『ウェブ小説30年史』(講談社)ほか。 ichiiida.theletter.jp