
2025年度子どもに読ませたいのはコレ! 200万部を突破した「おばけずかん」作者の新シリーズ「ふしぎながっちゃん」が子の心を育てる理由
斉藤洋さんインタビュー
2025.05.02
ライター:山口 真央
どんな「嫌なこと」でも必ず「楽しいこと」がある

──「ふしぎながっちゃん」シリーズには「足が速くなりたい」や「学校がなくなってほしい」など、子どもたちのリアルな夢がたくさん登場しますが、どのようにして子どもの夢を考えていますか。
斉藤:子どものかなえたい夢って、時代が変わっても、大きくは変化しないのかなって思います。
もちろん、「動画配信者になりたい」なんて、新しい夢が出てくることもある。
けれど、憧れる人になりたいと思う気持ちは、僕の時代から変わっていません。
自分の子どものときの気持ちを思い出しながら、担当者と相談して、ひとりずつ子どもの夢を決めています。

──斉藤先生のお話を、子どもたちにどのように感じてほしいなど、ねらいなどがありましたら教えてください。
斉藤:あえてひとつ挙げるとしたら、嫌なことのなかにも、楽しいことを見つけようってことかもしれません。
生きていれば、嫌なことや、面倒なことがたくさん起こります。
『ふしぎながっちゃん ゆめをかなえるカプセル』に出てくるりゅうくんは、「どこにでも いける スケボー」を手にして、遠くの公園まで瞬時に行くことができました。
だけどそのスケボーは、家までの帰り道を運んでくれることはできません。りゅうくんは「どこにでも いける」とお願いしただけで、「帰れる」とは言わなかったからです。
りゅうくんは必死に家までの道を思い出しながら、なんとか無事に帰ることができました。
それからというもの、りゅうくんは、スケボーで遠くに出かけては、自力で帰るようになりました。
りゅうくんは不便さのなかに、自分で考えて家にたどり着く「楽しさ」を見出したからです。
時間は有限です。未来を生きる子どもたちには、どんな困難が起きても、前向きに楽しく生きていってほしいと思います。