「いらすとや」人気の秘密　おやつカンパニー、サンシャイン水族館…人気企業からも愛される理由

「いらすとや」は、さまざまなイラストが無料でダウンロードできる、素材集サイトです。

街頭で配布されるチラシや、駅のポスターのみならず、最近はテレビ番組の解説など、多くの場所やメディアで「いらすとや」のイラストが使用されています。みなさんも、一度は目にしたことがあるはずです。

なぜ「いらすとや」は多くの場所で使用されるのでしょうか。また、過去に「いらすとや」とコラボレーションした「おやつカンパニー」や「サンシャイン水族館」は、どのような理由から依頼したのでしょうか。企業とコラボし続ける「いらすとや」の魅力を深掘りしつつ、フリー素材ならではの特性を活かした、いらすとや初の「まちがいさがし本」についても紹介。人気の秘密を探ります。

日本には「著作権法」という法律があります。他人の著作物をつかいたい場合、その著作権者に許可をとる必要があります。私たちは著作権者の許可をとって初めて、著作権者が指定した利用方法や条件の範囲内で著作物をつかうことができます。使用料を支払う必要があることも多いです。※１

しかし「いらすとや」のイラストは、１つの制作物に20点までなら、許可をとることなく無料で使用することができます。規定内であれば、YouTuberの動画や、企業広告にもイラストを掲載することも可能です。

さらに驚きなのが、商品へのイラスト使用が可能なこと。「イラスト自体を商品にするのではなく、あくまで自分のデザインの補助をする役割」なら、著作権者に許可をとることなくつかうことができるのです。

この太っ腹な規定により、個人のみならず、多くの企業や官公庁が「いらすとや」をつかっているのです。

「いらすとや」イラスト利用についての規約詳細はこちら

※１　著作権法　第63条

いくら無料であっても、つかいたいイラストがなければ、多くの人が利用することはできません。「いらすとや」のスゴさは、種類の豊富さにあります。

試しに「お正月」のページを開いてみると、お正月に関するイラストはなんと333個（2023年４月現在）！　トップには、2023年の干支である「ウサギ」や、「2023」と文字の書かれたイラストがあり、都度新しいイラストを更新していることがわかります。

また「いらすとや」のサイトには、汎用性の高いものだけでなく「こんなものまで!?」と驚いてしまう、ニッチなイラストがたくさんあります。たとえばこのイラストは、何を表しているかわかりますか。

正解は「スマホが顔に落下した人のイラスト（女の子）」。一見、マニアックすぎるようにも感じますが、設定が細かいからこそ、利用者がイメージにぴったり当てはまるイラストを見つけることができるのです。

街中で「いらすとや」のイラストが増えるにつれ、マニアックなイラストをみつけた人が「シュールでおもしろい」とSNSなどで取り上げるようになり、「いらすとや」の知名度は日に日に上がっていきました。

そんななか、「いらすとや」とコラボレーションをしたいと名乗りをあげる企業が続々と登場します。「おやつカンパニー」「サンシャイン水族館」「ユニクロ」「ローソン」「セ・リーグ」など、幅広い企業が「いらすとや」に作画を依頼するようになりました。

今回は、いくつかの企業の担当者に「いらすとや」にコラボレーションを依頼した理由について、コメントをいただきました。

「いらすとや」コラボレーションの特徴は、それぞれの企業キャラクターを「いらすとや」が描き下ろしているところ。かわいくてシュールな「いらすとや」の画風で人気キャラクターが描かれることで、より特別感が増します。有名企業の他にも「セサミストリート」や「ポケットモンスター」「刀剣乱舞」など、大人気キャラクターやアニメとのコラボレーションを続々発表しています。

またコメントからもわかるように、企業の担当者が「いらすとや」のファンであることが、イラスト依頼の大きな理由のようです。フリー素材としてスタートした「いらすとや」ですが、多くの人につかわれるうちにファンが増え、人気企業とコラボレーションするようになりました。

「いらすとや」は、フリー素材として使い勝手がいいだけではなく、「いらすとや」のファンがたくさんいることから、多くの企業やキャラクターとのコラボレーションしていることがわかりました。

その人気はとどまることを知らず、ついには、フリー素材ならではの特性を活かした書籍まで登場しました。

「いらすとや」のイラストをふんだんにつかった、初めての間違い探し本『いらすとやの超シュールで激ムズなまちがいさがし』は、「いらすとや」のサイトにのっているイラストだけで構成されており、書き下ろされたイラストは一つもありません。

問題だけでなく「フリー素材にこんなイラストがあったんだ！」というところも、本書を楽しめるポイントの一つです。

まちがいさがしのステージは、月面やアイドルのライブ会場、京都の鴨川、VRをたのしむ夫婦など、全部で26個。各ページに、なかなか見つけられない「激ムズ」のまちがいが入っているので、たっぷり遊べます！

『いらすとやの超シュールで激ムズなまちがいさがし』を手に入れて、「いらすとや」のかわいくてシュールな世界に浸ってみてはいかがでしょうか。