
ファン歴23年の“推し”と夢の対談! 作家・戸森しるこがKOKIAに明かす「挫折しかけた私を救ってくれた歌」
作家・戸森しるこ×シンガーソングライター・KOKIA スペシャル対談 前編
2026.11.07
ライター:山口 真央
デビュー作『ぼくたちのリアル』で講談社児童文学新人賞を受賞し、作家生活10周年を迎えた戸森しるこさん。子どもたちの揺れる心に寄り添う数々の物語を紡いできた戸森さんが、「人生の心の拠り所」として20年以上にわたり敬愛し続けているのが、シンガーソングライターのKOKIAさんです。
戸森さんの作家生活10周年、KOKIAさんの独立20周年を祝して開催されたスペシャル対談。前編ではおふたりの出会いから23年のファン歴、そして挫折しかけた戸森さんの背中を押した名曲「夢の途中」とデビュー作誕生秘話に迫ります。
18歳の夏、ラジオから流れてきた歌声との出会い
KOKIA:作家業10周年、おめでとうございます。しるこさんは以前からライブに遊びにきてくださって、お話しさせていただく仲なんですよね。
戸森:はい。18歳のときにKOKIAさんの歌に出会ってから、今年で23年、ずっとファンをさせてもらっています。今日はこうしてお話しできることが、本当に夢のようです。
KOKIA:嬉しいですね、10代のころに出会ってくださったんだ。どんな場面で、私の歌と出会ったんでしょう。
戸森:初めて聴いたのは、当時のアルバイト先で流れていたラジオです。曲は「かわらないこと~since1976~」。この歌は「生まれたこと」や「見守ってくれていること」にありがとうと伝える歌で、流行りのラブソングを中心に聴いていた私にとって衝撃で、ダイレクトに胸に響きました。特にこの歌の最後の方にある「アルバム開いて 気付いたことがある 私の産まれた日 みんな笑ってた」という歌詞が大好きです。
KOKIA:そのとき、しるこさんは学生さん?
戸森:はい、大学1年生の夏でした。すぐにCDショップへ走り、「かわらないこと~since1976~」のシングルCDを買ったことを覚えています。そのあと当時出ていたアルバムも買い揃えて、毎日聴いていました。
じつは今日これを持ってきました。(小さな紙を差し出して)初めてライブに行ったときの、チケットの半券です。
KOKIA:わあ、懐かしい。Shibuya O-EASTでやった、2004年のイベントですね。こっちは渋谷公会堂のライブだ。
戸森:Shibuya O-EASTのライブは、KOKIAさんがトリだったと思います。ライブで歌声を聴いて、さらにKOKIAさんの世界観に引き込まれました。私も当時すでに作家を目指していたので、KOKIAさんの姿を見て「私もいつか人に何かを伝える人間になりたい」と憧れていたんです。
KOKIA:こうして半券まで大切に残してくださって、胸がいっぱいになります。長くものづくりを続けていると、こういう「時間マジック」を知る瞬間があって。自分の知らないところで誰かが私の歌を人生の一部にしてくれていて、何年も経ってから「こんにちは」って自分のもとに戻ってきてくれる。しるこさんがこうして言葉を届けてくださったことも、まさにその奇跡だなと感じています。
作家・戸森しるこが選ぶ「心に寄り添い続けてくれたKOKIAソング」
戸森:今日は対談のために、私にとって特に大切な曲をプレイリストにしてきました。音楽を流しながら、想いを伝えてもいいですか。
KOKIA:ぜひ教えてください。どの曲が入っているのか気になります!
戸森:まず「「私にできること」」。この曲は2007年の新潟県中越沖地震の際、被災地である柏崎のファンの方へ贈られた曲でした。じつは私の両親が柏崎出身で、一方的にご縁を感じていたんです。余談ですが、カラオケスナックで酔っ払いのお客さんたちにKOKIAさんの曲を布教するときは、よくこの歌を歌っています(笑)。
KOKIA:ふふふ、スナックで歌ってくださっているの、最高ですね。
戸森:それから、1stアルバムに入っている「エリカ」。KOKIAさんのお友達に、エリカさんという方がいらっしゃるんですよね?
KOKIA:そうそう。大学生のときの親友です。
戸森:じつは私も高校生のときに、エリカという友達がいました。夢に向かってまっすぐに突き進むような子で、当時まだ夢を持てていなかった私は、彼女を素直に応援できませんでした。この曲を聴くと彼女と過ごした時間や、「あのとき真っ直ぐに応援できていたら」という想いが湧いてきて、胸に迫るものがあります。
KOKIA:しるこさんの感受性が素晴らしいですね。そこまで深く聴き込んで音楽を受け取ってくださるなんて。
戸森:まだまだあるのですが、なかでも一番大切な曲が「夢の途中」です。2013年、KOKIAさんの15周年記念コンサートで聴いたときのことは、今でも忘れられません。そのとき私は20代後半で、児童書の作家になる夢を諦めかけていたんです。
KOKIA:2013年なら、しるこさんがデビューされる前ですね。
戸森:はい。同世代の友人たちが結婚したり仕事でキャリアを積んだりしていくなかで「私はこのまま書き続けていていいのかな」「本当に夢は叶うのかな」と自信を失ってしまって。同時に、KOKIAさんの歌が聴けなくなっていました。
KOKIA:そうなんですね! それはどんな心の変化があったのかしら。
戸森:KOKIAさんの書かれるまっすぐな歌詞を、受けとめられなくなってしまったんだと思います。でも、そんな自分がすごく悲しくて「やっぱりKOKIAさんの歌を心から好きだと思える自分に戻りたい」と、一番後ろの席のチケットを持って会場に行きました。
KOKIA:客席でそんな葛藤を抱えていらっしゃったんですね。
戸森:そのコンサートでKOKIAさんの「夢の途中」を聴いたとき、ものすごい力が湧いてきました。「もう1回、作家になるために頑張ってみよう」と思ったときの景色を、今でもはっきり覚えています。そのときの決意から生まれたのが、デビュー作『ぼくたちのリアル』です。いまも自分を励ましたいときに、よく聴いています。
KOKIA:そうなんですね。じつは「夢の途中」は、自分の状態にシンクロしないと歌えない曲なんです。だから自分自身に活を入れたいときや、「今日の客席には、きっと夢の途中で戦っている人がいるはずだ」と直感でひらめいたときに歌うようにしています。
戸森:その念はもしかしたら、私が送っていたかもしれません(笑)。
KOKIA:そうかもしれませんね(笑)。その日のホールで、私の投げたボールがしるこさんに届いた。しかも、そこから新しい物語が生まれたなんて。表現者としてこれ以上の幸せはありません。


KOKIAさんのスペシャルなライブが開催決定!
クリスマスまでのカウントダウン。ワクワクする気持ち、1年の終わりに向けて、心研ぎ澄まされる時間。
教会という特別な場所でKOKIAのオリジナルナンバー、クリスマスのスタンダード、心うるおう時間を一緒に過ごしませんか?
皆様のお越しをお待ちいたします。
Christmas before Christmasークリスマスを待つ時間ー
【日時】2026年12月3日(木)開場18:00/開演18:30
【会場】キリスト品川教会 グローリア・チャペル 8.000円(税込)全席指定
【お問合せ】キャピタルヴィレッジ Tel.03-3478-9999
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写真/安田光優(講談社写真映像部)
































山口 真央
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。