ご当地キャラが大さわぎ☆東北はっけんミステリー!【秋田編 第2回】

んだッチ大ピンチ! 「パラレルワールド! お米のない世界!?」みどりネコ (3/3) 1ページ目に戻る

作家:みどりネコ

3、失われた朝ごはん

んだッチとはちくんは小学校に着きました。今日はお休みなのでしょうか。校舎はひっそりと静まりかえっています。

「お米がないってことは、給食は、パンとかうどんなんだろうね。」

「んだッチねー……、え?」

小学校の前の掲示板に貼られたポスターを見て、んだッチが立ち止まりました。

秋田名物のいなにわうどんに目玉焼き、フルーツ、牛乳、の写真の下に、

『早ね、早おき、朝うどん! 〈秋山県教育委員会〉』

と、大きな文字で書かれています。

どうやらこれは、朝ごはんのポスターのようです。

「秋山県? あ! 田んぼがないから、秋田県じゃなくて〝あきやまけん〟になったんだワン。」

秋山県かあ。秋になると、山の紅葉がきれいだから秋山県になったのかな。

「でも、どうして『朝ごはん』じゃなくて『朝うどん』なんだろう。朝食がパンのときも『朝ごはん』って言うよね。」

はちくんは、ポスターを見つめて首をかしげました。お米のある世界では、トーストでもおにぎりでも、朝に食べるものはぜーんぶ「朝ごはん」と言います。そして、朝でも昼でも夜でも、食事のことを「ごはん」と言います。

「もしかして……、ごはんそのものがないからだッチ?」

「そっか! お米がないと、『ごはん』という言葉もなくなっちゃうんだ。」

今まで当たり前のように食べていたけど、ごはんってすごいんだなぁ。はちくんは、たんぽ小町ちゃんの言葉を思い出しました。

「昔、きりたんぽは、ハレの日のごちそうだったのよ。お正月にはおもちを食べるし、お祝いのときにはお赤飯を食べるでしょ。おめでたいときに食べるものには、お米を使ったものが多いの。」

と、やさしく教えてくれました。

今はふつうに食べられているお米も、昔の人にとってはとても貴重なものだったのかもしれません。昔の人たちが大切にしてきたごはんを、ぼくも大切にしたいな。はちくんは心からそう思いました。

んだッチとはちくんは再び歩きはじめます。

ふたりは元の世界にもどれるのかな? 第3回は4月19日更新!

もっとくわしく! 秋田コラム

米と発酵の食文化

雪深い秋田では、長く厳しい冬をしのぐ知恵として、発酵食品が暮らしを支えてくれていたんだ。お米から作る麴は、味噌や醬油だけでなく、野菜や魚を漬ける保存食にも使われているよ。「いぶりがっこ」や、魚から作る調味料「しょっつる」、清らかな水で作る日本酒など、発酵の知恵が秋田の食文化を豊かにしてるんだ。

魚から作る調味料「しょっつる」は秋田県を代表する伝統的な魚醤(ぎょしょう)。写真提供/男鹿なび

田んぼの役割

田んぼは稲を育てるだけでなく、「田んぼダム」として一時的に雨水をため、川へゆっくり流すことで洪水を防ぐ役割があるよ。それに、田んぼの水は地下にしみ込む過程で不純物が取り除かれてきれいになるんだって。メダカやカエル、ザリガニなど、水辺の生き物のすみかにもなっているよ。

秋田の田園風景 写真提供/秋田県鹿角市

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みどりネコ

みどりネコ

作家

秋田県生まれ、宮城県在住。2021年、第一回みちのく童話賞で大賞受賞。児童文芸サークル「みちのわ」所属。みちのく童話会、日本児童文芸家協会会員。 作品に「まほうの天ぷら」(『まほうの天ぷら』/国土社 に収録)、「Tのかまくら」、「黒い石」など(『東北6つの物語』シリーズ/国土社 に収録)。

秋田県生まれ、宮城県在住。2021年、第一回みちのく童話賞で大賞受賞。児童文芸サークル「みちのわ」所属。みちのく童話会、日本児童文芸家協会会員。 作品に「まほうの天ぷら」(『まほうの天ぷら』/国土社 に収録)、「Tのかまくら」、「黒い石」など(『東北6つの物語』シリーズ/国土社 に収録)。