ご当地キャラが大さわぎ☆東北はっけんミステリー!【秋田編 第2回】

んだッチ大ピンチ! 「パラレルワールド! お米のない世界!?」みどりネコ (2/3) 1ページ目に戻る

作家:みどりネコ

すると、「あやあや、なんじょした?」(あら、どうしたの?)

買い物に来ていたおばあちゃんが、心配そうな表情ではちくんにたずねました。

「んだッチの持っていた棒がなくなっちゃったの。それがないと、ぼくたちはおうちに帰れないんだワン。」

「それだば、たいへんだ。どういう棒っこだ?」

「このくらいの長さで、細長い銀色の棒だッチ。」

んだッチは両手を広げ、パラレルステッキの説明をしました。

「それならさっき、小っちゃいわらしっこが持って、外さ走って行ったど。」

どうやら、小さい子がおもちゃとまちがえて持っていったようです。

「んだッチ、はやくその子をさがそう!」

「おばあちゃん、ありがとうだッチ!」

お礼をいってお店の外に出た二人は、思わず立ち止まりました。駐車場の外には、稲刈りを終えた田んぼが広がっていたはずなのに、田んぼは一枚も見当たりません。

代わりにあるのは、空き地と広い畑です。あちらこちらに生えている背の高いススキが、風に吹かれてゆらゆらとゆれています。

すると、お店から少し離れた空き地で、二人の男の子が楽しそうに遊んでいました。

「あの子たちに聞いてみるッチ。」

一人の子は、虫とりあみを大きくふり回しています。

「あのさ、小さい子見なかった? 細長い銀色の棒を持った子。」

「それならさっき通ったよ。お母さんと一緒に、あっちに歩いてった。」

小さな虫かごを持った男の子が、道の先の小学校を指さしました。

「ありがとうだッチ!」

「ありがとうワン! わー、虫捕り! ぼくも大好きだワン。」

はちくんが虫かごをのぞきこみました。ところが中は空っぽです。

「虫が見つからなくて、つまんないんだ。」

男の子たちが言いました。

「え? 赤とんぼなんて、そのへんにいっぱい飛んでるッチ。」

しかし、たくさん飛んでいるはずの赤トンボが、一匹も見当たりません。

「そういえば、赤とんぼのすがたが見えないワン。」

「赤とんぼがいないなんて……。びっくりだッチ。」

はちくんとんだッチにとって、田んぼの周りは楽しい遊び場です。秋になると、とんぼは稲刈り後の田んぼに卵を産みます。冬を越して、春になり、田んぼに水がはられると、ヤゴ(とんぼの幼虫)が生まれ、やがてとんぼになります。

「赤とんぼがいないのは、ヤゴのすむ場所がへっちゃったからかもしれないワン。」

「田植えのとき、ヤゴがオタマジャクシを食べているのを見たことがあるッチ。」

ヤゴはトンボの幼虫。田んぼにトンボが集まるのは、自然にやさしい証拠。写真:Batsuamaru_Photo/イメージマート

田んぼには、小さな生き物がたくさんすんでいます。

「とんぼが卵を産んでも、水とエサがなければ、ヤゴはとんぼになれないワン。」

「田んぼや用水路は、ヤゴが育つのにぴったりの場所だったんだッチ。」

この世界の子たちに、赤とんぼがたくさん飛んでいる黄金色の田んぼを見せてあげたいな。はちくんは、草が生い茂っている空き地を見ながらそう思いました。

「それに、鳥もあんまりいないッチ。」

んだッチが空を見上げました。エサとなる小さな虫が少なくなり、鳥もへってしまったのかもしれません。

「お米がないと、こんなにも秋田の自然が変わってしまうんだワン……。」

はちくんは遠くを見つめて、ぽつりとつぶやきました。

生き物がいないのは、寂しいね……。
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