『NO.6』ファン必見! 書店トークイベントで飛び出したあさのあつこの“神回答”まとめ

開催日は9月7日「紫苑生誕祭」を祝う特別なイベント (2/2) 1ページ目に戻る

ライター:山口 真央

世界から目を逸らさなければ「負けた」ことにはならない

すべての画像を見る(全7枚)

次はキスについての質問です。『「NO.6再会#1」で、紫苑とネズミのキスシーンのあと、紫苑が「この日のために稽古を重ねてきた」と言います。紫苑は、どんな稽古をしたのでしょうか。またふたりのキスを先生がたとえるとしたら、「何のキス」なのか教えてください』

あさの:私も紫苑に突っ込んだんですよ。「NO.6」の再建で忙しかったのに、そんなことしている暇があったのって。自分でツッコミを入れてるくらいなので、わかりません(笑)。何のキスかといえば、「再会のキス」しかないと思います。

次の質問は『「NO.6」の住民の名前は漢字表記、西ブロックの住民の名前はカタカナ表記のイメージがありますが、登場人物の名前についてこだわりはありますか』

あさの:『NO.6再会』では、世界が終わってみんなが集まってきているところなので、登場する人物の名前は、アジア系やヨーロッパ系など、ごちゃごちゃにしようと考えました。再生委員会のメンバーの名前の選びには、苦労しましたね。名前の表記を、漢字表記やカタカナ表記などに統一しないことが、大きな意味を持つと考えました。

ついに最後の質問です。『「NO.6」の世界でも、私たちの世界でも、戦争が起こり、環境は破壊されています。自分の生活に追われている私が、社会や自然に対してできることはあると思われますか』

あさの:いま自分たちがどういう世界に生きているか、ということを忘れないだけでも、意味があると思います。世界でいま何が起きているのか、目をそらさずにいることが大事だと思います。自分を無力だとは思わないでほしい。目を背けなければ、負けたことにはなりません。正直、私自身も『NO.6』を書き上げる自信は、ほとんどないんです。けれど書き続けるうちに、自分自身が変わって、見えてくることもあると信じています。そして書いたものをみなさんに、読んでいただこうという思いがあります。

以上の質問で、トークショーは終了。最後はみんなで紫苑をお祝いしようと、先生の前にケーキが運ばれました!

そのあとおこなわれたサイン会では、来場者とあさのさんが和やかに交流されました。遠方からお越しになったのは、アメリカからのお客様です! 記念にお写真を撮影させていただきました。

『NO.6再会#2』の発売を記念する、紫苑生誕祭トーク&サイン会は、大盛況のうちに終了。あさのさんと読者のみなさんの『NO.6』への思いがたっぷりと聞けた、尊い時間となりました。

あさのあつこ
岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991年『ほたる館物語』で作家デビュー。97年『バッテリー』で第35回野間児童文芸賞、2005年『バッテリーⅠ~Ⅵ』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説までさまざまなジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。

シリーズ累計230万部超え、2人の少年の友情を超えたディストピア小説の傑作

【電子書籍特典ショートストーリー付き】

シリーズ累計230万部超え、2人の少年の友情を超えたディストピア小説の傑作

・『NO.6再会#1』発売告知後、即Xでトレンド1位!
・『NO.6再会#1』Amazon1位(SF・ホラー・ファンタジー6月6日調べ)
・『NO.6再会#1』ジュンク堂池袋本店総合1位(2025年6月2日調べ)
・『NO.6再会#1』トーハン週間ベストセラー文芸書2位(2025年6月3日調べ)

度重なる戦禍で地球環境が壊滅した世界に生きる紫苑とネズミ。「NO.6」のエリートとして育てられた少年・紫苑(しおん)と、「NO.6」の外に広がるスラム地区「西ブロック」に住むミステリアスな少年・ネズミは、腐りきった偽りの理想都市を崩壊させた。二人は、新世界を再構築できるのか。真っ直ぐすぎる二人の未来の命運をわける2巻。

──きみは、ぼくを摑めないと言ったけれど、ぼくにとっては、きみこそが謎だ。確かに存在しているのに決して手に入らない。

●「NO.6」シリーズ読者からの感想
「たくさん本は読んできたけれど、これ以上面白い本に出会ったことがない」
「呼吸を楽にしてくれた本」
「死にたくなったらネズミの言葉を思い出します。逃げずに前へ進め! 現実を見ろ!
どんなに現実が辛くても光を見いだせる人になりたいと思います」
「泣きたくなった夜に読みます。おまえはどうありたいんだ? いつでも自分にできることを問いかけ、動きつづけたいと思います」

●あさのあつこさんからのメッセージ
声を聞きました。ネズミの声です。
「生きる場所も死ぬ場所も自分で決める。あんたじゃなくおれが決める。余計なお節介は止めてもらおうか」と。
そうか、彼らはすでに出逢い、運命を紡ぎ始めているのか。
だとしたら、わたしも、もう一度だけ、本当にもう一度だけ、彼らに手を伸ばそう。この手で彼らの生に触れてみよう。
『NO.6』の作者として戦ってみよう。あれほど恋い焦がれた少年たちに挑んでみよう。
今はただ、それだけを考えています。
14年の時を経て、あなたに再び『NO.6』を届けます。

撮影/柏原力(講談社写真映像部)

この記事の画像をもっと見る(全7枚)

前へ

2/2

次へ

27 件
やまぐち まお

山口 真央

編集者・ライター

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。

あさの あつこ

Atsuko Asano
作家

岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991 年『ほたる館物語』で作家デビュー。97 年『バッテリー』で第35 回野間児童文芸賞、2005 年『バッテリーI~VI 』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説まで様々なジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。

岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991 年『ほたる館物語』で作家デビュー。97 年『バッテリー』で第35 回野間児童文芸賞、2005 年『バッテリーI~VI 』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説まで様々なジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。